【PFNW】さて、あの戦いは【大砂漠の迷宮】

丸の胃

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 酒場の片隅。冷えたエールをゴクリゴクリと喉を鳴らし飲み干すと、机に広げられた絵巻を指差して男は言った。

「この間露天で買ったんだ。いつだったか昔、この土地がまだ未開発の頃を描いたものだという」

 向かい合って飲んでいた男もまた、その絵巻を見てふーんとつぶやく。

「未開発の頃か。聞いたことがあるな、あの砂漠にいたという蛇竜のことか。あの頃の冒険者も、よくもまぁこんな化物と対峙しようと思ったよな」
「本当に。俺ならきっと、尻尾巻いて逃げ出してるわ」
「違いない。俺もだ」

 笑い合いながら再び酒を口にし、先ほど運ばれてきたばかりの熱々の肉の塊をつついて腹にためていく。ひと仕事終えたあとの酒とご飯はどうしてこんなにもうまいのだろう。肉を食べきったあとの骨を空いた器に投げ捨てながら、そういえば、と口にした男に「なんだ」と顔を向けた。

「お前、どうしてまたこの絵巻を買おうと思ったんだ」
「ん? ああ、俺の曾曾……どれくらいか前のばあさんが昔、国の剣客隊だったことがあってな。こいつを退治しようと砂漠に行っていたことがあるらしい」
「退治って……お前んところの一族、陽の光が苦手なのによく行こうと決心したな……」
「そうそう、その時ばあさんほとんど意識なかったらしいぞ」

 そりゃだめだ、と苦笑いした男と一緒になって笑ったものの、それでも、と男は絵巻をそっと指で撫で。

「それでも、こうしてばあさんらの活躍があったからこそ、俺たちが今こうしていられるのだと思うとつい、な」

 こうやってこの絵巻を買ってしまったんだよ、とぽつりと言った。

「さてそれにしても、この蛇竜の最期は一体どうなったんだっけかな」
「そこは覚えていないのか」

 男たちは再び笑いあって、また新しくエールの注文を追加した。

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■公式より大砂漠の暴君【illust/34532428

■PixivファンタジアNewWorld【illust/33956297

#pixiv Fantasia: New World#Amudamina#大砂漠の迷宮【黄】#大砂漠の暴君

2013-03-30 08:39:50 +0000