ブライゼン連合・アイアニアの一角に、《エルツォーモ》という亜人種たちがいる。彼らはその一生の大半を、地下で過ごす――コロニーという独自の地下都市を築き、巨大化するモグラ《フロータルパ》を駆って、採掘を生業とするのである。幾世代も続き、そしてこれからも続いていくであろう、日々の営み。そんな中、1人の少女が『不思議なもの』に興味を持った。「魔法……」それは違う『世界』の不思議な『力』。自分は――いや、この国の誰もが絶対に扱えないもの。「でも、魔法が込められている《もの》なら、少しはムゥにも分かるかもしれない」後に、奇書・『ミーメット・ムゥのグリモア』の1ページ目が書かれ始めた瞬間だった。//ミーメット・ムゥ/女/人間換算で13~4才/一人称:ムゥ/二人称:あなた 地下に住まい、採掘を伝統的な生業とする亜人種・《エルツォーモ》の少女。日々採掘に勤しんでいたが、とある旅人が教えてくれた『魔法』というものに興味を持つ。真面目で粘り強いがやや内向的、という、種族の特性を色濃く継いでいるが、『魔法』という未知なるものへの好奇心に胸躍らせる年齢相応の少女らしさもある。ちなみにわりと言う事ははっきりしている。頭にいるのは《フロータルパ》のペターロ。「ムゥは魔法を使えません。でも、興味があります」「ムゥの邪魔をしないで下さい」//《エルツォーモ》:ブライゼン連合・アイアニアの一角にひっそりと住まうミーアキャット系亜人種。人間の子どもくらいの身長に、ずんぐりとした体形、薄暗い地下でも数十m先を見通せる鋭い視覚を持つ。地下に住まい、コロニーという巣穴上の地下都市を築いて生活する。生業は大半が採掘であり、《フロータルパ》を飼い慣らしている。全体的に、真面目で粘り強いが、やや内向的で警戒心が強い。また、現在でも採掘作業をほぼすべて手作業で行うなど、わりとアナログな志向をしている。//《フロータルパ》:《エルツォーモ》が家畜化している巨大化するモグラ。元々はモンスターの一種だった。普段は10cm弱程の大きさだが、好物のミミズを与えると4、5m程になる。//『ミーメット・ムゥのグリモア』:魔術的アイテム、特に鉱石を中心とした魔術研究書。魔法を扱えない《魔術的知識の無い素人による魔術研究書》とされ、奇書扱いされているが、そうした《魔術的知識の無さ》ゆえに加えられた新たな知見を評価する者もいる。
2013-03-29 16:35:44 +0000