決戦前夜のこと。演習のときに手を組んだ、この国に来て初めてできた友達、ジーザスのもとに彼女は訪れた。「星を見に行かないか」と。明日になれば、もう君の顔をまともに見ることも出来ないのだから、と。空気はまだ冬が終わっても少し冷え冷えとしていて、吐く息は少し白くなった。深夜の人気の少ない街灯だけがぽつりぽつりと灯されている町を通り抜け、林を抜け、ある広々とした草原まで彼を誘った。そこは彼女が短期間の間に見つけた、とっておきの場所だった。たどり着いて、そのまま地面に腰を下ろすと、濃紺の空に沢山の金紗をまぶしたような、その中に一つぶ二つぶ真珠を転がしたような、息を呑むほどの美しい星空で覆われていた。二人で暫く黙って星を見ていると、ふと彼女はこう呟いた。「今は、保守や革命、国の話はなしにしよう」。誰もが眠りにつき、一切の活動をしていない、この時間だけは。「君を見ていると何故か小さい時の自分を思い出すよ」昔自分はこんな星が綺麗な夜には、湖に移る星が本気で釣れるのかではないのかと水面に釣竿をおろしたことがあるだとか、あの星を目印に自分は子供の頃旅をしてきたのだとか、たわいもない話を彼に話した。そして最後に、こう告げた。 「君に出会えてよかった」 もうこれで、今までの君と触れ合っていたときのことは、全て忘れよう。大丈夫。戦が終われば、全て仕舞いさ。僕自身も、ね? ■キャプションだけでわかりにくくてごめんなさい!!拉致させて頂きました左のジーザスくん【illust/32133223】うちのご近所迷惑な右のチビ【illust/31828310】暗闇でわかりにくいですが、ジーザスくんは私服のパーカー、イブは普段の軍服のブラウスの上にフード付きケープと、ポンポン帽を被っております。何もかも見えづらい仕様になってて申し訳ない・・・。■ちょっと時期的に早いですが、決戦前日話です。イブはこれから皆と距離を置くようになっていきます。■作業BGM:君の知らない物語http://www.nicovideo.jp/watch/sm10259402■コメント欄にてブクマコメお返事
2013-03-28 18:53:55 +0000