一人教団を抜け出して、見たことのなかったものをたくさん見た。毎日当たり前のように訪れる朝と夜とその間の空の色さえいちいち真新しく、出会う人々の表情やしぐさ、その言葉のひとつひとつもすべてが新鮮な輝きを含んでいた。もっともっともっと、知らなかった世界を知りたいと思うと同時に、脳裏に時間の制限がよぎっていく。ああ、もしこのまま運命に追いつかれてしまったら、きっと今とは見える世界の色は変わってしまうのだ。今のままがいい、今のままでいい。僕がネクロでなかったのなら、こんなときにこそ感情というのは去来するのだろう。ネクロの僕には、そんなものないけれど。■ラングillust/29557658寿命[2013.2.11]77日
2013-02-11 05:37:06 +0000