実に、実に鼻持ちなら無い連中だが、その実力は確かだ。奴らを除いて一体誰が下馬して騎兵に追随し、そのまま敵の只中に突入する事などできようか。敵中で秩序を乱すことも無く、たとえ包囲されてもその戦意は微塵も揺るがない。そう、連中は悉くタラリアのサンダルを履いているかの如く、まさに飛ぶ様に戦場を駆け、ひとたび陣地の固守を命じられれば、根を生やした様に堅く守り、例えヘカトンケイルを一個大隊招集しても奴らを地面から引き剥がすことは出来ないだろう。その攻撃に至っては解き放たれたアレスの様に残忍にして獰猛で、立ちはだかる者全てに漏れなく破滅と惨たらしい死を、我らが大王にはマケドニア戦史に燦然と輝く新たなる勝利の一行を捧げる。認めたくは無いが、確かにマケドニアの”大槌”と”金床”は彼らが繋いでいる――マケドニア軍歩兵隊指揮官の東征従軍記よりヒュパスピステスについて――法螺です。東方にて良からぬ思案を巡らしつつ、パルメニオン将軍に小粋なマケドニアンジョークをかますアレクサンドロス大王と彼らを警護する近衛兵の図であります。王の身の安全を確保するヒュパスピステス(盾持ち、親衛隊)は全国の歩兵の中から特に体格や能力の優れた者が選抜され編成されました。彼らの主任務については諸説あるようですが、数多の会戦の戦列において常に名誉の位置を占め、他のマケドニア軍重装歩兵の様に密集方陣を組んで戦闘に臨むだけで無く、ときに騎兵の機動戦術に随行し、その戦果を拡大するなど多様な作戦行動に従事したのだとか。ヒュパスピステスは後にアルギュラスピデス(銀盾隊)と名を変え、かのエウメネスもその扱いに苦慮するほどにマケドニアとディアドコイの歴史に深く関与していきました。ヒストリエ、次巻発売は何時ですか!!次は騎兵とかペルシアの歩兵あたりに挑戦しましょうか。
2012-10-29 15:28:44 +0000