数時間前、私は勝利を確信していた。狩り存在(モノ)競争という競技にしては不気味な競技、それが安全に行われるかの監査もかねて参加したのだが、如何せん、競技となると勝ちたくなる性、本気で取り組むことにした。正直今、監査などどうでもいい。他の人が箱から取り出した紙を開いて顔面蒼白になったり、自傷を始めたり、恥ずかしそうに頬を赤らめる中、まず私が引き当てたのはなんということか『お米』だった。そうだ。『お米』なのだ。私は勝利を確信した。家からとって持って帰るとしたら間違いなく顔面蒼白ものだが、私には「心当たり」があった。『お米を持っているであろう者』への。クラスメイトであり、ギンシャリストである『弐弐弐弐弐』だ。朝見た時、彼女はきっと体育祭でみんなに振舞うつもりなのか米俵を持って来ていたのだ。「勝った…」。そう思い、私は彼女の下へ走って行った。それが数時間前だ。 そして今。「あの…借りるだけだから…」「フー!!!」 こんなことが予測できただろうか。なんと彼女は私を警戒しているのだ。競技名が『狩り存在』だからか、私が米俵を『奪い』に来たと思っているのだ。ちなみに私はお米は好きだ。故郷では主食だったからな。ある意味そこで彼女と意気投合したところもあったというのに。それがこの様である。 「すぐ…返すから…なぁ?頼…」 「グルルルルルルル…!!」優しく囁くように頼み込んだが、あろうことか彼女は、持ち武器である大斧『双彩御石』を持って威嚇をし始めた。「うぐ…」この状況で、私は手も足も出ない。まぁ『狩り』というのだから力づくで米俵を手にすることもできるだろう。しかし、風紀委員としてそんな粗暴な真似はできない。断じて。それに…クラスメイトにそんな真似ができるわけないだろ…。「あの…それ、借り…」 「グルルルル…!!」どうすればいいのだ…。 ■お借りしました。変な設定つけてすみませんツツジちゃん【illust/26207390】 うちの堅物【illust/26082342】 ■ちなみに、この絵を見ればわかるとおり、脚が弱点なカナデは「ハーフパンツ」を履いてます。
2012-09-09 14:05:37 +0000