アニメ小話注意:::::ほんの数か月前のことである。多くの笑顔に望まれて誕生した王家の一子、王女は赤子ながら表情豊かで、その笑顔はすべての人々の心を照らした。王妃の腕に抱かれた王女を、セラヴィーは怖々と覗き込み、自然と笑みが零れ落ちた。大きな目をいっぱいに広げて笑う王女。覚えず心にこみ上げた感情を、セラヴィーは一生忘れることなく心に刻んだ。――――――災禍に見舞われながらも、すやすやと穏やかに眠る健全な赤子を抱きながらセラヴィーは膝を折る。炎上する王城を仰ぎ見て唇を噛んだ。近衛隊長でありながら、忠誠を誓った王家を守りきれず、その背を本来護るべき大王に任せてしまった現実が胸へと突き刺さる。別れの際に大王が託した王女の存在だけがセラヴィーの心を慰めた。「……お護りします」ためらいもなく頭(こうべ)を下げて、忠誠を――二度と違えることのない約束を一方的に告げた。幼い王女は、これから先多くの災禍や試練に見舞われるだろう。何の罪も無いというのに。その時、王女の心が折れぬよう、優しく強く健やかな魂のままでいられるように。「何があっても護りますよ……チャチャ」かつてこの世界を救ったジョアン一世と同じように、愛と勇気と希望を胸いっぱいに抱えて再び伝説を彩る戦士になるその日まで。――――再び平和を取り戻した魔法の国、もちもち山の小さな家で元気に駆け回る子どもたちを見ながらセラヴィーは常である笑顔をさらに深めた。何笑ってんのよ、とセラヴィーを小突いたのはどろしーだった。そんな遣り取りにもセラヴィーは笑う。「護りたかったものが護れて良かったなあと思いまして」そういったセラヴィーに、どろしーは首を傾げる。「なんで過去形なのよ。これからも護るんでしょ」弟子なんだから、と子どもたちを見守るどろしーの眼差しはどこまでも優しい。一瞬目を瞠ったセラヴィーはそれからとても嬉しそうに笑った。「護って…良いんですよね。そうですよね、私はあの子の師匠なのだから」道に迷った子どものように言えば、当たり前でしょと強い肯定が帰ってきた。 結論:赤ずきんチャチャ(アニメ)最高。
2012-06-24 13:51:50 +0000