日本の75mm徹甲弾

たまや C101土曜東ア30a

一式徹甲弾は、陸軍の75mm砲で使用された徹甲弾では最も一般的なもので、それまでに制定されていた各種徹甲弾同様、炸薬を内蔵するAPHE弾である。三八式野砲や四一式山砲用のものは10mm幅1条弾帯で、全備弾量6.575kg、空弾量6.010kg、炸薬量65g(アルミ被包含)、信管量500gである。信管は一式徹甲中一号弾底信管を用いた。この信管は、着弾時の衝撃に耐えるよう、それ以前の弾底信管に比べて大幅に構造が強化されており、曳光剤も内蔵していた(図3)。九○式野砲・八八式七高用は10mm幅2条弾帯となり、全備弾量は30g重い(恐らく四式七高用も)。九○式野砲用のものは一式七糎半自走砲・三式七糎半戦車砲でも共用できたはずである。さらに四式七高をベースとした五式七糎半戦車砲では、全備弾量6.615kgでさらに10g重く、弾帯形状が異なっていた可能性がある。各砲での初速は、四一式山砲343m、九四式山砲384m、三八式野砲508m、一式七糎半自走砲668m、試製五式七糎半対戦車砲Ⅰ型821m、五式七糎半戦車砲850mであった。弾種標識は白線一条だが、緑白各一条とする米軍資料もある。一式に次いで開発された四式徹甲弾は、75mm級では陸軍で初めて制式化された無炸薬のAP弾である。弾体長等は一式徹甲弾と同じで曳光剤220gを入れてあり、八八式七高用では全備弾量6.750kg、空弾量6.530kgである。図の形状とマーキングは推定。徹甲弾弾体の金質については、一式徹甲弾では弾丸鋼第一種丙(C:0.65~0.70、P:0.05以下、Mn:0.45~0.80、S:0.05以下。抗張力80kg/平方mm以上。)を基本とする。その他の徹甲弾用地金としてはタングステンクロム鋼、ニッケルクロム鋼があり、前者を使用した徹甲弾を特甲、後者を特乙と称した。一式七糎半自走砲では、500mで普通品は80mm鋼板を、特甲は100mm鋼板を貫通した。また、製造に際しては弾丸鋼と、このような特殊鋼では焼入れの工程が異なっていた。このため、図4に示すように弾丸鋼製では頭部表面のみが硬い焼入れ層(濃く塗った部分)となるのに対し、特殊鋼製では全体がほぼ均質な硬度となる特徴があった。(※図はニッケル資源節約のためモリブデンを混ぜたニッケルクロムモリブデン鋼製の例)

#military affairs#army#Japanese Army#砲弾#徹甲弾#高射砲#tank#弾薬#diagram

2012-06-23 09:15:47 +0000