イッシュ地方に研究旅行にきてもう3カ月が経つ。今日は地元の研究者に同行してもらい、リュウラセンのとうにメブキジカの調査、観察に行った。季節は冬。メブキジカは冬毛に生え換わっている筈である。探し始めて数時間。若いメブキジカを見付けた。メブキジカの冬毛は発達した胸の毛が特徴である。この胸の毛は、体を大きく見せる効果があり、雄は縄張り争いの時、胸の毛を見せ合いその大きさと美しさから雄としての優劣を競う。今日の調査ではその様子は見られなかったが、地元の研究者に映像を見せて頂くことができた。映像は、若いメブキジカが大人のメブキジカの縄張りに入っていくところから始まった。大人のメブキジカは、若いメブキジカの前に立ちはだかりこれ以上進むなと言わんばかりに睨みつけた、負けじと若いメブキジカも胸の毛を見せつけ、大人のメブキジカを睨みつけた。4分程睨み合いが続いた頃、大人のメブキジカが若いメブキジカに向かって突進すると、若いメブキジカは一目散に逃げて行き、カメラの視界から消えてしまった。この争いでは大人のメブキジカに軍配が上がったのだ。私はこの映像を見て興奮してしまったが、この映像を何度も見ているという地元の研究者もかなり興奮していた、それほど貴重な映像なのだ。いつかこれを肉眼で観察してみたいものだ。
2012-06-03 10:31:23 +0000