【PF4】洗濯詩人は銀行で

AKINONA(あきのな)

二人でのんびり洗濯を干しつつ海を眺めていた時に、唐突に「何で恋文を出さないの?」と聞いてきた年下の少女に「いくら私が貧乏暇なしの洗濯詩人でも、3年分の借金抱えたまま愛を告白するのってどうかと思うのよね……」と冗談混じりに笑いながら船の上で答えた事を思い出す。そんな話題にされていたことなど露程も知らないであろう『親愛なる文通相手』に抱えられたまま、身体の至るところに怪我をしたままの洗濯詩人が、雨降りしきる夜の街で呟いた。「せっかく竪琴の修理料金を月々スターズ銀行にきっちり返済していたのに、ごらんの有様よ。洗剤とドライクリーニングの溶剤一式全部買い直さないといけないし、この両手の怪我ときたら、洗濯するのも竪琴弾くのもしばらくままならないわ。商売再開はいつになるのかしら。優良顧客リストから外されなければいいけど………」竪琴代金の返済がつつがなく終われば、今は財団の指示もあり空高く隠したままの『翼ある城』の調査と再建が待っている。恋文を書く日がまたしても遠のいたことにほんの少しの安堵も感じるが(馬鹿ね。私まで、思いの重さに負けてどうするの)彼女は小さく頭を降った。だがしかし、日々穏やかに文を交わし合う友と長時間行動を共にしている時はそれ即ち命をやり取りする修羅場である。(今度告げる日は、これ以上ないくらい穏やかな日にするって決めたのよ)それがセントラルの詩人でもある自分のささやかな矜持でもあった。思わず溜息を吐きながら、船に戻ったらオーランド氏に返済の一時延期を申し込む手紙を書かねばならない、などと、かろうじて保っている意識の片隅で考える。後ろから大きな爆発音が響きわたった。「………無事に、決まってるわ」あの星の塔が落ちた日に『生きること』を誓い合った友に、もう一度『何か』を誓う日が来たら、真っ先にそれを報告する予定の黒髪の少女を思い浮かべ「ガールズトークはまだ終わってないもの。最後まで、聞いてもらわなきゃ」エアリエルはゆっくりと目を閉じた。<夜の街にて>■【novel/779720】に敬意を表して!スターズ銀行のオーランドさん(http://p.tl/i/9826455)にお金を借りにいった際の一枚です。■うちの(http://p.tl/i/8532882)&(http://p.tl/i/8617787

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2012-03-13 05:01:00 +0000