砲弾が空を裂き、大地を燃やす戦場の中で、眼前に迫る脅威を撃ち落とさんと二体の巨人は激突する。軍配は自身の被弾をものともせず砲火を掻い潜り前進を続けたグリフバインに上がった。渾身の力で振りぬかれた炸薬爆杭は見事に少女の駆るウォーハンマーⅡの胴部に命中し右腕と、特殊兵器を弾き飛ばし無力化した。このときコックピットを狙わなかったのはアランシアなりの優しさだったのだろう。 「見事だ、異国の戦士よ…お前の勝ちだ」少女は今まで死闘を繰り広げていた相手に賛辞を贈る、力無くシートにもたれかかる少女の腹部には十数センチにも満たない金属片が突き刺さっている。より多くの敵を葬る為にと胸部装甲内に増設された弾巣が仇となり爆発の衝撃で誘爆し本来安全であるコックピット内に歪な刃を生み出したのだ。 引き裂かれた腹部からはおびただしい量の血液が溢れ出し、小さな体から熱と力を奪い去る。助けを求めて画面に目をやるが、愛する人の機体反応はすでに消えていた。いずれはこうなる運命と覚悟はしていたが熱いモノが頬を伝う、それが涙だと気付くのに数秒かかるほど朦朧とした意識の中で彼女を姉と慕う笑顔が去来し、もう一度涙があふれ出す「シグルズ…」きっと通信機も壊れてしまっているのだろう望んだ相手の声は一向に返って来る気配はない、そうだと分かっていても彼女は語りかける「シグルズ…すまない、どうやら私もここまでのようだ…もうお前が寂しくなっても一緒に寝てやることも出来ないだろう…ごめん、ごめんね……
」「シグルズ、どうか…どうか強く、生きて…」そう言い終わるとアイーシャは返事を待たずに気を失った。 凄い今更ですがこちらillust/21221384の続きになってます■名前だけお借りしましたヴェルメ王国残党軍よりグリフバイン(id=20998340)・パイロットのアランシアさん(id=21045598) 107よりシグルズきゅん(id=21011492)愛する人(id=20598733) ■■■このあと馬に助けられるアイーシャ(id=20857207)コレ→illust/21300539に続きます
2011-09-09 16:05:06 +0000