この写真か?これはな、じいちゃんが若いときに撮ったんだ。はは、この中にじいちゃんはおらんよ。じゃあ誰なのかって?ううん、誰なんだろうなあ。じいちゃんもずっと気になってるんだ。最初は傷痍軍人…つまり、怪我をした兵隊さんたちだと思って見とったんだが、ずいぶん変わった人らだろう、そのうちにじいちゃんの友達が、もっと近くに行って話を聞こうと言い出したんだ。酔った勢いもあって、この兵隊さんたちの隣のテーブルに移動したんだが、すぐに聞き耳を立てていることに気づかれてな。焦ったよ、何しろこの三人、全員将校だったんだ。将校って言うのは兵隊に指示を出す人で、じいちゃんたちみたいな兵隊から見たら雲の上の人だ。叱られる、と思ったんだが、三人ともいい人でなあ。このビールを飲んでいる大佐…そう、すごく偉い人だよ、この人が、ロシアとの戦争に行く出征祝いだ、と教えてくれたんだ。そのころ、ロシアとの戦争は酷い状況でな、行ったらもう殆ど帰ってこられないような戦場だった。じいちゃん、感極まってな、ちょうど持っていたカメラで、記念写真を撮らせてくれ、と頼んだんだ。最初は渋られたんだが、新聞だとか広報誌に載せなければいい、という約束で、一枚だけ撮らせてくれたんだ。この人たちがその後どうなったかって?そうだなあ、戦後まで生き延びてくれていれば嬉しいが、きっと、そうはいかなかったろうなあ。みんな親衛隊の将校だものなあ。――なんだ、クララ、ナチスの話なんてするなって、ただ若い頃の話をしてるだけじゃないか――え、帰る?今日は泊まっていくんじゃ…そうか、すまなかったね、また、来ておくれよ。 …寂しいものだなあ、受けた教育も、生きた時代も、全部否定されて、なかったことにされるのは。 ん、誰だ、こんな時間に。クララはもう家に着いたはずだし――な、なんだ、あんたら――― あ あなたは あの時の ■クロエネン会長・HELLSINGの少佐・シュトロハイムの三人。資料は記憶。会長の服装があいまいだったり少佐の鉄十字勲章が潰れちゃったり世界一の人の所属がSSなのか国防軍なのか分からなかったりしたけれどそのまま押し切った。描いといてなんだけれど、この三人って同じ時期に同じ地域に配属になることない気がする。
2011-07-13 11:24:07 +0000