「彼」を見かけたものは「天国」へ行ける――汗。湿気。肉の焼ける匂い。やっさまつりの人いきれの中、ぼくは探していた。お父さんも警察も、大人はだれもとりあってくれない悩みを抱えて人ごみを走る。やっさまつりに伝わる伝説だけを信じて。――「彼」を見かけたものは「天国」へ行ける――ぼくは人の脚につまづいて水溜りにつっこんでしまう。「君の探しているものは――」たくましい、しかし白く滑らかな手が泥まみれのぼくに差し出される。針金のような短髪。朴訥な丸顔。引き締まった口元。 伝説は嘘じゃなかった。「彼」は――そこに居た。◆千葉県の東金商工会議所が募集していた東金地域のイメージキャラクター「やっさくん」です。◆http://www.asahi.com/national/update/0607/TKY201106070584.html
2011-06-08 12:54:11 +0000