いまだかつて、誰一人として踏み入れたことのない場所――未開海域と呼ばれる、黒洋。そこに直径666kmもの巨大な大渦が存在する。■はるかな遠く昔、それは海が生まれると共に現れたという、渦。それは単なる現象ではなく、自らの”存在意義”を持って具現化された存在だった。渦が持つ存在意義――この世に”欲”をもたらし、その具象となること。■「貪欲なる大渦にして大禍」、欲餓龍リバイアサン。極めて高く狡猾な知能と、無垢とも呼べるほどの貪欲さを併せ持つ巨大な龍で、はるか昔に銀鱗龍(シルバーハーミット)に滅ぼされた。だがその真の姿は「黒洋の意志もつ渦」そのものであり、仮初の肉体を長い時をかけて修復した。その間にも奪い続けた者たちを取り込み、より強大な力を宿し……■リバイアサンは極めて特殊な能力である「属性変異の呪い」を持つ。これは全ての存在がもつ「固有属性」を自在に変化させてしまう強力な力である。例えば石がもつ「石」という固有属性を「木」に変えれば木に変わり、人が持つ「人」という属性を「剣」に変えれば剣と化す。この力を使い、リバイアサンは目をつけた相手を武具へと変化させ、蒐集してきた。■古代の詩に歌われるとおり、彼女は欲望そのものの具現化であり、己の欲望を満たすことを命題として生き続ける。そしてそれ以外の感情を生まれながら持たず、怒ることも悲しむこともない。リバイアサン自身は誰に対しても「敵意」を持つことがない。ただ、あらゆる事象を飲み込み続けるだけである。海洋に浮かぶ大渦のごとく。
2011-03-20 16:13:02 +0000