【PF5】煌きと深淵

marupon

その昔、龍がいた。■それは過去で生まれ未来から来た、欲望の化身。なにもかもを飲み込まずにいられない、強欲を現世にもたらしたもの。■全てが欲しい。全てを飲み込みたい。■この星に海が生まれ、後に黒洋と呼ばれる海域に渦ができた。やがて海に生物が発生し、神経系を構築するようになると渦はそれが欲しくなった。そして渦は意志を手に入れた。■海に影が落ちた。とてもとても大きく、銀色に光る影。渦は次にそれが欲しくなり、龍の姿を手に入れた。■海もにぎやかになってきた。様々な生命体、様々な意識。渦は手に入れた龍の姿で、それらを欲しくなるたびに、手に入れてきた。■やがて渦――龍は地上もにぎやかになったことを知る。あれも欲しい。■地上にあがった龍は、ここでも好きなものを好きなだけ手に入れた。地上の獣たちは、既に文化と文明、そして敵を打ち倒す火を手に入れていたが、龍もまた極めて狡猾な知能を手に入れていた。■龍には欲しかない。仮面を被ることは覚えたが、敵意を持ったこともなければ敵意を理解することもない。ただ欲するだけ、欲するのみ。■ある時、龍の前にとても大きな龍が姿を見せた。いつか見た、とてもとても大きく、銀色に光る龍。渦だった龍は思った。これも欲しい――■それは今から何百年前だったろうか? あるいは、数千年前だろうか。銀鱗龍は、一つの龍を打ち倒した。破壊に到達しないはずの己の銀鱗をわずかに剥がされたものの、無数の罪なきものたちを連れ去り、そして不遜にもこの銀鱗龍をも狙ったその龍は、事象攻撃を一身に受けこの世から消滅した。本体と思わしき巨大な龍玉ごと、全次元から完全に滅ぼしつくした。■その昔、龍がいた。かつては渦だった、龍がいた■   ――今は?   ■PF5最終章前のインターバル的イラスト。お借りしました 銀鱗龍illust/16196821■商主illust/16296501
■企画元:PixivファンタジアⅤillust/16194969

#銀鱗亭#PF5#pixiv fantasia v#【PF5】ボラシアス商会#エデリオン#エデリオン千夜一夜#滅せよ、災禍

2011-03-15 17:14:57 +0000