これは井坂がガイアメモリに魅せられた直後に遭遇したミステリアスな事件である‥‥
◯[作品タイトル]井坂の診療日誌/症例P
◯[患者]風都団地に住む少女と母親
◯[診療内容]原因不明の感染症
集合住宅数棟が並ぶ風都団地。そこに住む親子からの内密の診療依頼を受け往診に訪れた井坂。患者の少女は数日前から原因不明の高熱に冒されていた。熱病は少女だけでなく、数週間前から団地全体に拡がっており、何らかの感染症または集団食中毒の可能性が考えられたが、それならば何故、団地の住人は誰も病院や保健所に連絡をしないのかと井坂は問う。患者の母親曰く、謎の熱病の拡大と同時に姿を現した自称・霊媒師の男が原因だという。
風都団地に突如発生した謎の熱病の拡大。住人が警察か保健所に連絡しようとした時、その男は姿を現した。自称・霊媒師の彼は、この熱病は“悪霊”の仕業だと語り、絶対に団地の外部に口外してはならないこと、そして“除霊”は自分にしか出来ないことを語る。当然、最初は誰もが信用していなかったものの、彼が“除霊”を行った病人を見事に治したパフォーマンスと霊媒師の弁が立つ演説、そして“悪霊”に取り憑かれたとされる病人達がすっかり彼を信じきったことで、謎の感染症の話は外部に一切漏れてこなかった。そこからは住人達は霊媒師に対して信用を越えて、信仰といっていい程に依存し始め、病人だけでなく、“悪霊”に取り憑かれていない住人達の間でも、その霊媒師に逆らってはならないという集団心理が働き始めた。一種の信仰宗教のような異常な空気感と、悪霊の存在を信じられない母親が内密に井坂に連絡をしたのだという。
住人達は井坂の存在を知ると、彼をヤブ医者呼ばわりして追い出そうとし、また部外者に悪霊騒動の話を漏らした患者親子を執拗に批判するのであった。
しかし、井坂は団地の住人の批難などお構いなしに、少女への手厚い治療と感染症の原因究明を続けた。井坂は医者として熱病の原因が悪霊の仕業等とは信じていない。未知の細菌か、ウイルスか‥‥あらゆる可能性を考慮した結果、井坂は原因は団地の貯水槽にあることを突き止める。貯水槽の水に極小の“寄生虫”の大群が含まれている事を発見し、その“虫”の入った水を飲んだ者が発症したのである。しかも、その虫はただの寄生虫ではなく、ガイアメモリの産物であった。井坂は、そのまま少女の体内の“虫”を放置すれば、彼女は助からない事を母親に告げる。住人達に監視されている為に家から少女を運び出せない事から、家の中で外科的に“虫”を体外に摘出する手術を行う必要があった。井坂は(本来は内科であるが)見事な手術で少女の命を救い、生きた“虫”のサンプルも手に入れることに成功。そして真実の追及のために霊媒師を訪ねる。
◯[メモリの種類]P(PARASITE):寄生虫の記憶
◯[メモリの使用者]悪徳霊媒師(詐欺師)
◯[メモリの能力と犯行内容]
寄生虫の特性を持つドーパント。
自身の分身にして下僕である『サーバント・パラサイター』通称“虫”を複数、生み出す事が出来る。
“虫”は人間の体内に侵入すると、毒素による熱病で苦しめながら、宿主の生命エネルギーを吸収する。いずれは宿主の神経を支配し、思考・行動までパラサイト・ドーパントの意のままに操られるようになる。寄生が神経系まで進行すると、もはや宿主に助かる術は無い。
パラサイトメモリを悪用した詐欺師は、団地の居住者に飲み水を媒介にして“虫”を取り憑かせ、自らを霊媒師と偽り、住人達に悪霊の仕業であるかのように吹き込み、霊感商法を行っていた。彼がパフォーマンスで行った“除霊”も一時的に“虫”を体の外に追い出している自作自演にすぎない。お布施として住人から大金を騙しとって私腹を肥やし、最後は住人全員を“虫”によって全滅させて、口封じを行う冷酷な完全犯罪を目論んでいたが‥‥
井坂「やはり、“虫”はドーパントの仕業だったんですね。寄生虫の記憶まであるとはガイアメモリとは、やはり極める甲斐があります」
霊媒師「ヤブ医者、貴様なぜ、ガイアメモリの事を知っている?」
井坂「私はドーパント専門の医者ですからね。君の体もじっくり見せて下さい‥‥‥‥、と言いたいところですが、彼女から摘出した“虫”のサンプルのおかげでパラサイト君の能力は全て理解しました。もう、君に興味はありません」
霊媒師「なに!?」
井坂「最後に、是非、手合わせ願いたい。私の取って置きのメモリとね‥‥」
\\ウェザー//
ウェザー・ドーパントとパラサイト・ドーパントが戦闘を開始。パラサイトはウェザーも操ろうと無数の“虫”をばら蒔くが、ウェザーは凍結能力で虫の大群をあっさり無力化させた。
パラサイトは奥の手として、虫を感染させた団地の住人を戦闘員として立ち向かわせるが、ウェザーは何ら躊躇なく住人達も氷付けにして全滅させてしまう。寄生が進行した住人達は最早、助かる道は無いとは言え、医者でありながら非道な仕打ちにパラサイトは恐怖を覚え逃げ出そうとする。が、ウェザーは見逃すことはなく、雷撃と灼熱攻撃でパラサイト・ドーパントを爆発四散させるのであった。
患者の親子を除いて、団地の住人は全滅。少女のことはガイアメモリの洗礼を受けながら生存した貴重な“サンプル”であり経過観察が必要として生存。井坂は風都団地を後にするのであった。
Pはパラサイト、寄生虫。医者である井坂が敵として迎え撃ちます。
井坂深紅郎が全うに医者として人を助ける(しかし、その裏でサイコな一面を見せる)、そんなダークヒーロー的なサブストーリーを見てみたい、と考えたエピソードです。
井坂役の檀さんは既にお失くなりになられていますので、叶わぬ夢ですが、井坂深紅郎が主役の外伝も見てみたかったです。「仮面ライダー」が出てこない作品でも、ダブルのキャラの一人一人の人気の高さを考えると、怪人主役でも充分にドラマが成立すると思います。
あと悪霊ネタというのも探偵ものやミステリーの王道ですから、こういう話もありじゃないでしょうか。
パラサイトのモチーフはヒル、ダニ、シラミ、ロイコクロディウム等々、気持ち悪い生き物を寄せ集めています。
大晦日なのに、なんつー、キモいキャラ描いてるんだ。2024年、最後の作品がこれでいいのか?
2024年は、年始に描いたアンデッドデザインをきっかけに、去年よりも多くの方の目に止まって頂けました。それからはオリジナル怪人デザインを中心に描いて、それまでよりも高評価とコメントを頂けるようになってありがたい限りです。
ドーパントの残りのイニシャルも年明けに何とか投稿しようと思います。
あと、中途半端な状態のしかのこのこのここしたんたんもちゃんと書き終わりたいです。
それが、新年の目標というか、とりあえず年明け1月の目標です!
2024-12-31 14:36:42 +0000