即オチ2コマ

六菖(Rokusho)

「堀江さん、試作機での大気圏突入、本当に大丈夫なんですか?」

ブリーフィングルームの緊張した空気に、若手技術者の不安が響く。美咲は投影されたデータを見つめたまま、わずかに微笑んだ。

「確かに不安になりますよね」彼女は眼鏡を上げながら、スクリーンに映る試作機のスペックを指さした。「でも、このQ-35は違います。大気圏突入時の応力分散メカニズムが、従来機と根本から異なるんです」

彼女の指先が、ホログラム上のデータを次々と展開していく。

「マルチレイヤー・シールドの耐久値は従来比120%。しかも、各層が独立して作動するから、一層が損傷しても他がカバーできる。振動制御も、ナノスケールのジャイロセンサーで0.1ミリ秒ごとに補正をかけます」

データの数値が、まるで彼女の自信を裏付けるように整然と並ぶ。エラー発生確率0.01%未満。構造耐久テスト、全項目グリーン。

「理論上は、民間旅客機なみの快適さですよ」

そう言って笑う表情に、しかし、誰も気付かない緊張が潜んでいた。彼女は誰よりも、試作機の持つ可能性と危険性を理解している。だからこそ、自分が操縦桿を握ると決めた。

「大丈夫」美咲は若手たちに向き直り、今度は本物の笑顔を向けた。「パニックは最大の敵です。私たちに必要なのは、データへの信頼と、冷静な判断力」

会議室の窓越しに、朝日に輝く試作機の姿が見える。銀色に輝く機体は、まるで彼女の言葉に呼応するように、静かな自信を湛えていた。

誰にも見えない場所で、美咲は左手を強く握りしめる。完璧なデータの裏に隠された、試作機の未知の部分。それは、彼女だけが背負うべき重圧だった。

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2024-12-22 06:40:03 +0000