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七竜暦77年光炎月1週4日
観察地:大地竜連邦 地下都市第三区画「クリスタルホロウ」
天候 :快晴 / 気温:16℃
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◆ 新規観察個体データ
個体識別名 :ディープハンター(命名者:地域住民)
推定年齢 :15-20年
性別 :オス
体長 :約27m
危険度 :S級
特徴的な外見:深い緑がかった鱗。地下生活に適応した大きな瞳孔。前肢の爪が特に発達。
◆ 発見経緯
明の刻1刻、地下都市の住民から通報を受け、ドラゴン管理局の調査員と共に現場へ急行。地下都市の下層区画にある大型の結晶洞窟で、群れでの狩猟行動を確認。
◆ 生態観察記録
▪ 生息環境
地下深部の結晶洞窟群を主な生息域としている。洞窟内には蛍光性の鉱物が豊富に存在し、独特の生態系を形成している。季節の変わり目である現在、地上からの温かい風が地下に流れ込み、新たな生命の息吹をもたらしている。
▪ 特殊能力
暗闇での優れた視力と聴覚を持つ。前肢の発達した爪で岩壁を自在に移動。体表の鱗が周囲の光を反射し、時として姿が消失したかのように見える特性を持つ。
▪ 社会性
今回の観察で4-5頭の群れを形成していることを確認。狩猟時の役割分担が明確で、獲物を追い込む個体と待ち伏せする個体の連携が緻密。
▪ 食性
地下に生息する大型哺乳類を主な餌としている。しかし、近年の観察では獲物が減少傾向にあり、狩猟範囲を人間の居住区域近くまで広げている様子。
◆ 考察
獲物の減少は、地下開発による生態系の変化が主な要因と推測される。この状況が続けば、人間居住区との軋轢が深刻化する可能性が高い。
◆ 保護・管理に関する提言
地下開発と生態系保護のバランスを取る必要がある。特に、原龍の主要な餌となる生物の生息域の保全が急務。
◆ 現地住民の証言
「昔は、この結晶洞窟でディープハンターの姿を見かけることはめったになかった。最近は頻繁に目撃されるようになり、不安を感じている住民も多い」
- 地下都市第三区画 居住評議会議長
◆ 調査者所感
今回の観察で特に印象的だったのは、狩りを終えた後の群れの行動だった。獲物を分け合った後、若い個体が年長と思われる個体の傍らで休息する様子には、どこか懐かしさを感じさせるものがあった。生存のための冷徹な狩猟者でありながら、群れの中では穏やかな時間が流れている。
私は異世界からの観察者として、この相反する二面性に深い興味を覚えた。存在としての強さと、その奥に垣間見える親密さ。それは私たちの理解をまだまだ超えている。
2024-12-21 07:02:42 +0000