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七竜暦76年水地月7週6日
観察地:火竜帝国 熱砂の谷北部
天候 :晴れ、虹形成 / 気温:12℃
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◆ 新規観察個体データ
個体識別名 :オーロラウイング(地域住民の呼称)
推定年齢 :成熟個体
性別 :メス(行動特性から推定)
体長 :約28m
危険度 :A級
特徴的な外見:翼膜に虹色の光沢、背棘の一部に古い傷跡
◆ 発見経緯
第7刻、熱砂の谷での定期観察中に出現。火山性温泉地帯から立ち上る蒸気と冷気が交わる地点で狩猟行動を展開。季節外れの霜と虹の形成という特異な気象条件下での発見となった。
◆ 生態観察記録
▪ 生息環境
火山性の温泉が点在する熱砂の谷。通常は乾燥した環境だが、観察日は異例の霜が降り、地表は白く輝いていた。温泉からの蒸気と冷気の交錯する独特の環境が、生態に影響を与えている可能性がある。
▪ 特殊能力
高度な飛行制御能力を有する。狩猟時の急降下と獲物の慎重な把持に特徴的な技術を確認。体格に似合わぬ精密な動作が可能。
▪ 社会性
単独行動と思われたが、若い個体(体長約20m)の保護・養育行動を確認。通常の原龍には見られない高度な社会性を示す。
▪ 食性
大型草食獣を主な獲物とする。特筆すべきは、即座の捕食ではなく、若い個体への給餌行動が観察された点。
◆ 考察
本個体は、これまでの原龍の行動パターンとは異なる特徴を示している。特に養育行動の存在は、原龍の社会性についての従来の理解を再考する必要性を示唆している。
◆ 保護・管理に関する提言
危険度はA級に分類されるものの、人里への接近は確認されていない。現状の生息域の保全と、人間活動との緩衝地帯の維持が望ましい。
◆ 現地住民の証言
「あの個体は先月から谷に現れるようになった。最初は警戒したが、人里には近づかず、ただ狩りをして帰っていく。時々、虹が出る朝にしか姿を見せない」
- 谷の入り口に住む猟師・老ロメオの証言
◆ 調査者所感
今回の観察で特に印象的だったのは、原龍が示した養育行動の繊細さである。強大な力を持つ存在でありながら、その力を抑制し、他者を気遣う姿には、生命の営みの新たな一面を見る思いがした。翌日以降も継続観察を行い、この養育行動の詳細なデータを収集する必要がある。
2024-12-16 04:20:16 +0000