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七竜暦76年水地月7週4日
観察地:火竜帝国バーンクレスト領 溶岩台地保護区域
天候 :厳寒 / 気温:-12℃(地表)、+45℃(溶岩近辺)
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◆ 新規観察個体データ
個体識別名 :フロストファイア(命名者:レイブン・モートン)
推定年齢 :2-3歳
性別 :オス
体長 :約4.5m
危険度 :C級(幼体のため)
特徴的な外見:溶岩のような赤色の鱗に、霜が付着して白く輝く模様が特徴的。左後足に古い傷跡あり。
◆ 発見経緯
第24刻、溶岩流に沿って定期観察を行っていた際、霜の降りた岩場で特異な行動を示す幼竜を発見。溶岩の熱で温められた岩を転がして遊ぶような仕草が見られたため、詳細な観察を開始。
◆ 生態観察記録
▪ 生息環境
溶岩流と氷点下の外気が交わる特殊な環境。地表は霜に覆われているが、地中からの熱で部分的に融解している。この環境は、火竜の活動に適した温度帯を形成している。
▪ 特殊能力
未熟ながら火炎の放出が可能。ただし、制御は不完全で、むしろ体温調整としての機能が主体と推測される。
▪ 社会性
単独行動。ただし、定期的に特定の場所(溶岩池の北側)を見やることから、親竜との接触がある可能性を示唆。
▪ 食性
溶岩池周辺に残された痕跡から、主に大型の岩石生物を捕食していると推測。人間の痕跡も確認されたが、古いものであり、直接の関連は不明。
◆ 考察
幼竜の行動パターンは、本能的な狩猟訓練と遊戯的要素が混在している。特に、霜の降りた環境での活動は、温度調整能力の発達過程として興味深い。
◆ 保護・管理に関する提言
現時点での危険度は低いが、成長に伴う狩猟範囲の拡大が予測される。人間居住区との間に緩衝地帯の設置を提言。
◆ 現地住民の証言
「三十年前、この地域で村が一つ消えた。原因は特定されていないが、その後、この辺りで大きな原竜が目撃されるようになった。」
- 保護区周辺の古老の証言
◆ 調査者所感
今回の観察で特に印象的だったのは、幼竜の傷跡である。生存競争の過酷さを物語るその傷は、この地での記憶の重さを感じさせる。幼竜の無邪気な遊びの中にも、生き残りをかけた必死の訓練の要素が垣間見える。自然の摂理とはいえ、その現実に複雑な思いを抱かずにはいられない。
2024-12-11 07:15:18 +0000