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七竜暦76年水地月7週3日
観察地:火竜帝国ラバフロウ遺跡
天候 :雷雨 / 気温:-3℃
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◆ 新規観察個体データ
個体識別名 :クリムゾンマザー(命名者:レイブン・モートン)
推定年齢 :約150歳
性別 :メス
体長 :約32m
危険度 :SS級
特徴的な外見:深い紺青の鱗に赤い棘、腹部には黄金の鱗列。特に頭部の赤い棘状の装飾が特徴的。目は燃えるような橙色を呈する。
◆ 発見経緯
戦乱時代の遺跡における定期調査中、原龍の群れの一時的な生息を確認。特に群れのリーダーであるクリムゾンマザーの特異な行動が注目され、詳細な観察を開始した。
◆ 生態観察記録
▪ 生息環境
火山活動による溶岩流に囲まれた遺跡地帯。地表には火山の熱と上空からの冷気が交わることで生じる薄い霜が特徴的。地下には産卵に適した温度の洞窟が存在。自然の要塞として機能している。
▪ 特殊能力
- 高度な溶岩流の制御能力
- 精密な温度調整能力
- 群れの統率力
これらの能力は玉龍に匹敵する水準であり、原龍としては極めて特異。
▪ 社会性
群れのリーダーとして、7頭の若い個体を統率。高度な意思決定プロセスを有し、各個体の意見を考慮した上で判断を下す。これまでの原龍の社会性に関する定説を覆す発見となった。
▪ 食性
具体的な捕食行動は未確認。ただし、周辺地域での大型獣の減少報告なし。溶岩地帯の熱エネルギーを活用している可能性を検討中。
◆ 考察
原龍の知性と社会性に関する従来の学説の再検討が必要。特に、群れでの意思決定プロセスは、単純な本能的行動では説明できない高次の判断能力を示している。火山活動の異変に対する対応も、状況を正確に把握し、群れの安全を最優先とした合理的な判断であった。
◆ 保護・管理に関する提言
- 遺跡地域の保護区指定の検討
- 火山活動と連動した監視体制の確立
- 原龍の知性に関する新たな評価基準の策定
◆ 現地住民の証言
「あの群れは一度も人里に被害をもたらしていない。むしろ、火山の異変を事前に察知し、避難のきっかけを与えてくれることもある」
- ラバフロウ村 長老の証言
◆ 調査者所感
今回の観察で得られた知見は、原龍に対する我々の理解を根本から覆すものとなった。特に注目すべきは、彼らが持つ社会性と知性の高さだ。危機的状況下での冷静な判断、群れの合意形成プロセス、そして高度な魔力制御能力。これらは原龍を「単なる野生の存在」として扱ってきた従来の見方に、大きな疑問を投げかけている。
2024-12-10 00:19:23 +0000