「私はライトニングが苦手でしてね」
理事長の執務室でそう言うメフィストの真意が解る者がその場に居たかどうか。
メフィストがライトニングを苦手とするのは彼の人間らしくない考え方や行動による。人間なら迷うものだ、悩むものだ。人にどう思われるかを顧みず、手段を選ばず、目的に向かって淡々と物事を進めるそれはどちらかと言えば悪魔のそれに近い。彼が格下悪魔なら歯向いもしないし例えしたとて排除するだけ、害にもならないが、人間だと言うだけで途端に扱いづらくなり嫌悪感さえこみ上げてくる。
いつかはぎゃふんと言わせてみたいと思っていたところ、その機会は訪れた。
メフィストの身の潔白を示すためという理由でライトニングに見せた十三號セクション。
そもそもなんであんなものをそっくりそのまま、別次元に取っておいたのか、だって?勿論潔白の証拠などではない。歴史の1ページを切り取っておいただけだ。人がアルバムに写真を貼って楽しかった一コマを残すのとなんら変わらない。人は楽しいコマしか残したくないかもしれないが、メフィストはそんな狭い感情に左右されるのではなく、それが醜かろうが凄惨な場面だろうが残したいものは残す。
それらのコレクションの一をライトニングに見せたのは単なる気まぐれ――ではなく、ライトニングへのイタズラだった。
ライトニングがバチカンの聖域に入り浸っているのはメフィストも知っていた。目的は彼の先祖にあたる氣の王アザゼルに会うため。家族愛を知らないライトニングがアザゼルに対して祖父に近い感情を抱いていることも。
そんなライトニングに不信感の種を植えつけたら? それにはあの十三號セクションが有効だ。実際アザゼルも了解の上で始めている。アザゼルの意思に反して始めたかもしれないとライトニングは思いたいかもしれないが、よく考えればそれはあり得ないと解る。続くエリクサー研究についても同様だ。
「この私に楯突こうなど100年早いですよ」
誰も居なくなった執務室でメフィストは可笑しそうに笑う。
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……って妄想から描いたの(*´艸`*) あははw
2024-12-01 15:34:00 +0000