楯の乙女 Shieldmaiden

Anai Fuuka

ブリニャールの娘たち(Daughters of Brynjaal)は、苛烈な北方の荒野で生き残るために血と鋼を頼りとする、全員が女性で構成された戦士部族です。その名は、彼女たちの祖であり伝説的な戦士であるブリニャールに由来します。伝説では、ブリニャールは男に支配された古代の王国を離れ、彼女に従う女たちを率いて冷たい草原と雪の山脈を越えたと言われています。神々の恩寵を拒み、自らの力だけで運命を切り拓いた彼女の姿は、今なお部族の理想として語り継がれています。

部族は北方の霧深い荒野にそびえるクライヴァング砦(Kraevang Hold)を拠点としています。岩山を削り出して建てられたこの砦は、外敵の侵入を許さない天然の要塞であり、砦の壁には彼女たちの戦利品や古の武具が飾られています。砦の中心にある生命の広間(Hall of Vitality)は、この部族の根幹を支える重要な場所です。ここでは、部族の存続を象徴する儀式が執り行われ、略奪で捕らえた男たちが試されます。

ブリニャールの娘たちにとって、戦士であり続けることは存在そのものです。しかし、部族は女性のみで構成されているため、血統を維持するための独特な「繁栄の掟」を持っています。戦場や襲撃で捕らえられた男たちは、運命の試練(Trial of Endurance)を課されます。この試練では、彼らの体力、知恵、そして気概が試され、生き残る者のみが「種の器」として扱われます。選ばれた者は、部族の血筋を強化するための重要な役割を担いますが、それが終われば二度と自由は許されません。

子供たちは生まれるとすぐに母の手(Mother's Hands)と呼ばれる戦士養育係に預けられます。彼女たちは子供を鍛え上げ、弱き者は淘汰される厳格な訓練を施します。この残酷ともいえる過程を乗り越えた者だけが、次世代のブリニャールの娘たちとなるのです。彼女たちは、血の強さと精神の鋼を何よりも尊び、自らの存在が部族の名を未来に繋ぐ使命であると信じています。

部族は神々を畏れ敬うものの、他の民族とは異なる独特な信仰を持っています。彼女たちが崇めるのは、古代の女戦士たちの魂が宿るとされる「嵐の霊」や「狼の母」といった精霊です。これらの精霊に祈りを捧げることで戦いに勝利し、豊穣をもたらすと信じられています。しかし、精霊たちの加護は気まぐれであり、時には過酷な代償を要求することもあります。そのため、彼女たちは運命を恐れる一方で、それを受け入れる覚悟を持っています。

ブリニャールの娘たちの影響力は、北方の地を超えて広がっています。商人や放浪者の間では、彼女たちの旗が見えるだけで村は静まり返り、人々は身を隠します。一方で、彼女たちの「繁栄の掟」に魅了された者たちも少なくありません。捕虜となることで伝説的な血筋の一部となれると信じ、自ら捕らえられることを望む者さえ存在します。

しかし、その生活は決して安泰ではありません。彼女たちは常に外敵の脅威にさらされ、また内部でも力を巡る争いが絶えません。リーダーであるヴラエスミール(Vraesmir)は、部族の未来を守るために冷酷な判断を下すことを求められます。その手腕と威厳が試される日々が続く中、彼女たちの名は血と鉄で未来へと刻まれています。

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2024-11-16 04:22:17 +0000