真っ黒なケープが風に揺れる。まるで夜空に溶け込んでしまいそうなその黒い布地は
どこか不気味さを漂わせつつも、見た目以上に柔らかく、肌触りはとても心地よかった。
赤いリボンがそのシンプルなデザインにアクセントを与えており、可愛らしさが際立っている。
「これは…どうしたのですか?」
キイトは不思議そうにケープを見つめる。
「それはボクの手作り、ちょうど余っていたから持ってきたんだ。」
フィオーレの声には、少し照れくさい響きが混じっていた。
手作りだと聞いた瞬間、キイトの心は温かくなる。
「ボッ」突如として、キイトの頭上にふわりと炎が灯る。
キイトの感情が昂ると、無意識のうちに小さな炎を灯す癖があるのを、フィオーレはよく知っていた。
「おや、また出てしまったね。」
「あっ、これはそのっ」照れながら炎は揺らめいている。
フィオーレはその炎を見て、思わずクスクスと笑う。
キイトが無意識に感情を表すその様子を、フィオーレはなんとも愛おしく思っていた。
あの日の任務が終わった後も、彼の嬉しそうな顔を見て同じように炎が灯っていたことを、今でも鮮明に覚えている。
「そうだ、フィオーレさん。」
キイトが真剣な顔をして声をかける。
「どうしたんだい?」
フィオーレはその声に耳を傾ける。
「これ、美味しそうだったので、此処に向かう途中で買ったんですが。」
キイトは四角いクッキー缶をふわっと浮かせ、フィオーレに差し出す
その缶からは甘い香りがほのかに漂ってきた
フィオーレが缶を開けると、中にはアイシングでデコレーションされたクッキーがぎっしりと詰められていた
かぼちゃや黒猫の形をしたもの、カラフルなキャンディの形、どれも可愛らしく、見るだけで心が躍る。
「とても美味しそうだね。」
フィオーレが微笑みながら言う。
「これ、食べながら街の雰囲気を楽しみませんか?」
キイトが提案すると、フィオーレは嬉しそうに頷く。
「いい提案だね、そうしよう。」
二人は街角にあるベンチに座り込んだ。
目の前には煌めく街の灯りと、賑やかな人々の行き交う様子が広がっている
夜風が心地よく吹き抜ける中、彼らはクッキーを一つ取って口に運ぶ。
二人はそのまま、甘いクッキーを頬張りながら、静かな街の雰囲気に包まれていった
夜空の下で、二人だけの静かな時間がゆっくりと流れていく。
それは、何でもないような、でも特別なひとときだった。
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こちら【illust/124025940】のお返しです!
お借りしました▼
・フィオーレ【illust/123930290】
・キイト【illust/123873375】
渡したクッキー缶:肆祭の商品
*本音を言うクッキー【illust/123917999】
2024-11-07 04:45:03 +0000