#22 炎の首飾り

イーノ@ユッフィー中の人
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お主らに渡すものがある。
そう言うなりオグマは、集落の外れへパパさんとユッフィーを案内した。

「おっ、テントサウナか」
「入ってもらうのは、ユッフィーにじゃ」

普段からサウナ好きなのか、パパさんが興味を示すと。
ややぶっきらぼうな調子でオグマが言い切る。嫉妬してるのか。

「この世界でユッフィーが全力を出せるよう、心臓部の調整をする」
「では、着替えてきますの」

長老の立場上、オグマは忙しい。ユッフィーの身体を岩から削り出したのは彼だが、
パパさんみたいに愛娘とのんびり過ごすのは、なかなかできない。

「すでに聞いておるかもしれんが、この冒険の書の世界は
多くの地球人から干渉を受け、紛争が絶えぬ危険地帯となっておる」
「ガーデナーの連中は?」

パパさんが聞いたのは、オグマたちの宿敵ガーデナーの動向。

彼らは「報われぬ者に、報いの刃を授ける」を正義とするテロ集団で、
社会の歪みから負の感情を募らせがちな地球人をそそのかし、悪事に誘うことが多い。
それが彼らのチカラを高める早道なのだが…

「この世界は、地球人のヒュプノクラフトから強い影響を受けておってな。
現実とはあまりに勝手が違い、奴らもコロニー化に苦慮しておるよ」
「そうだろうね」

ガーデナーは夢の世界を自らに都合よく歪め、負の感情を効率的に搾取する
「植民地(コロニー)」を作り出す術に長けているが。

「みんな熱に浮かされたみたいになって、正直怖いですの」

身体にバスタオル一枚だけ巻いた姿のユッフィーが、テントから出てくる。
過度のやり込みプレイは、変人の奇行を超えて狂気すら感じさせる。
それを彼女も敏感に感じ取っていた。

「お主にはこれを渡しておこう。これで、自分の思い描く活躍の型を整えるのじゃな」
「ちいさなメダル、助かります」

二人を待つ間、オグマが周囲を探して見つけたらしい。

「では、行ってきますの」

ユッフィーがサウナテントに入る。熱気が肌に染み入り、汗がにじむ。
ほどよく熱されたら、冷水浴。
加熱と冷却の反復は、どこかドワーフの鍛治仕事にも似て。

すると、ユッフィーの胸元に赤い宝石が現れる。
岩の彫像を柔肌に変えた、ある女神に縁の深い炎の首飾り。

「わしも入るぞ」
「オグマ様?」

不意の混浴。外で焚き火にあたりながらも、気になるパパさん。

「ちょっとくすぐったいじゃろうが、バフバフを…」
「オグマ様ったら、甘えん坊ですの」

ドヴェルグは男だけの種族。オグマは伴侶を求めて岩を彫り、ユッフィーを作った。
リアルで独身のパパさんには、その気持ちが分からぬでもないが。

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2024-10-30 12:12:51 +0000