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唯が研一と温泉に行ってしまった金曜の夕方、あいは翼と智多と図書館で勉強をしていた。その際あいが智多に「じゃあ、今夜はうち来る?」という軽いノリからお泊まり会⋯もといパジャマパーティin黒川家が始まったのだった。
翼「というか唯姉さん、温泉旅館って⋯大丈夫なのかなぁ?」
あい「さあ?研一さん、多分だけど強引にお姉ちゃんの苦手な部分をいい記憶にしようと息巻いていたから」
翼「うわぁ⋯らしいと言えばらしい考え⋯」
智多「それで今、私がここにいると」
前回静家での急遽のお泊まり会は、暑かったことと、パジャマを準備する暇も無かったためTシャツに短パンだったのだが、今回は智多もきちんと準備したパジャマを着ていた。
あい「というか智多ちゃんって、ホント、何着ても似合うよねえ」
翼「ホント」
智多「⋯反応に困るんだけど。そうはいっても、私そんなに服も持ってないし」
あい「え!?そうなの!?」
翼「そんなに可愛いのに!?」
智多「翼さんまで⋯。まあ、名目上は私『パパと一緒に暮らしている同居人』ってスタンスだと思ってるし、なるたけパパとおねーちゃんに負担がかからないようにしてるつもりなだけなんだけど⋯」
翼「⋯分かるような気がします」
あい「そんなことないでしょう!?日和さんだって、元々血の繋がってない同居人を『智多ちゃんは家族です』って大っぴらに言ってるんだし、そんなに気にしなくてもいいと思うよ?」
智多「そうなのかなぁ⋯。まぁでも、いろんな私服はあっても損はないかぁ、大学行ったら制服もないし」
翼「ボクはどうなるんだろ」
あい「翼だって同じよ?そうじゃなきゃ、マリアさんのところからそれこそ施設だって入れる年齢だったんだし。でもお姉ちゃんは一緒に暮らすことを選んだんだから」
智多「少しお小遣い稼いだ方がいいのかなぁ、自分で好き勝手に使えるお金だってそう多くないし」
翼「何か、アテはあるんですか?」
智多「えーとこの前確か⋯」
財布の中身を漁る智多。
智多「⋯あった。なんかね、モデルさんやってみないか?ってスカウトされたの、これ」
翼「すごすぎる!?」
あい「⋯智多ちゃん、その名刺見せて?」
智多「いいよ、はい」
智多はあいに名刺を渡す。その名前を見ながら、あいは自分のスマホを操作する。
智多「⋯え、なんかヤバい系?」
あい「⋯(調べ終わった)ヤバいも何も⋯完全アウト系よ。この人、私が小さかった時に私にちんちん突っ込んできたプロデューサーだし」
智多「は!?」
あい「はぁ。まだこの辺彷徨いてたんだ。というわけで智多ちゃん、このバイトはアウトです」
智多「そうなんだ。あーよかった、早とちりしないで」
翼「なんなのこの姉たち⋯」
あい「ところでさ、お姉ちゃんがもし、今回子供ができたら、あたしおばちゃんじゃん!?どーしよ!?」
翼「え!?もしかしてボクも?」
智多「JKのおばちゃんは無理があるでしょ⋯せめてお姉さんでしょう?」
あい「けど家系図とかで見たらそうなるよね!?」
智多「⋯まあ、大丈夫でしょ」
翼「⋯何にも根拠のない大丈夫だぁ⋯」
智多「こればっかりはカンだけどさ、⋯多分、今回はお子さん出来ないと思うし」
あい「⋯なんで?きっちり中に出して、薬も飲んでないんでしょ?」
智多「⋯パパとおねーちゃんがそうだったし。あとさ、研一さん、すごい回数やるんでしょ?」
あい「あー⋯流れちゃうのかぁ」
翼(ボクは本気の一回しか知らない)
智多「おねーちゃんも言ってた、こればっかりは天からの授かりものだ、って。しかもさ、回数じゃないと思うけどねえ」
あい「それは確かに言える気がする」
翼「というか、この話の流れって何!?ボク、まだJCだよ!?」
智多「まあ翼さんは特殊だし⋯(明後日の方向を向く)」
あい「ここにいる3人はもう貫通済みだしねえ」
翼「生々しいよ!?ここにそれこそ大橋さんたちいたら卒倒するよ!?」
智多「まあ、私たちくらいの年齢なら、ヤっててもおかしくはないと思うけどねえ」
あい「あの二人どうだろ?普段も一緒にいるから無いと思うんだよねえ」
翼「縁さんは120%ナシだよね」
智多「あーこの前の喫茶店の話っぷりだとそうね。翠さんも漣さんも、おっぱい大きいしそれでイチコロだと思うんだけど」
あい「⋯時々智多ちゃんってえげつないよね⋯。それはそうとさ、あの二人のバイト、なかなかサマになってきてるよね」
翼「ボク、まだ見たことないです」
智多「こないだからもうシフト入ってたねえ。今はフード系の特訓してるって、杏おねーちゃんが言ってた」
あい「それがさ、蓮の作るのが美味しいの。この前さ、智多ちゃんテストの時に行ったら、杏さんいてさ、『シフォンケーキ試食してみない?』って言うから食べたんだけど、杏さんやマスターさんの作るのと全然差がなかったもん」
翼「ホント!?それはすごいや」
智多「私もプリン貰ったなぁ、確かに美味しかった」
あい「⋯そんな話してたらお腹減ったね、ご飯にしよっか」
翼「今夜はお鍋です」
智多「お、いいね」
翼「ボクはツッコミ疲れました⋯」
三人の夜は更けていく⋯
⋯
⋯⋯
⋯⋯⋯
後日談。
温泉から帰ってきた唯は、家に帰宅直後こそ喜んでいたのだが、しばらく後トイレに入ると半ベソをかいていた。いわく、「女の子の日になっちゃった」とのこと。あいと翼は、唯の頭とお腹を撫でて慰めるのだった。
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2024-10-30 03:00:55 +0000