田舎の城下町を散歩しながら、とりとめのない雑談を交わす父娘。
「お父様。なぜ、皆様は先を急ぐのでしょう?」
「そうだね。いろいろあるけど…」
このお話だってそうだ。もともと、11/14を過ぎてから本格始動する予定だったのに。
「みんな、もう待つのに飽きたからかな。 ばあさんや、体験版はぁ〜まだかい?」
「ふふっ」
パパさんの、昭和の名コメディアンのモノマネに、ユッフィーから笑みがこぼれた。
「ドラジャニ3は今までに何度もリメイクされたけど、今回は特に難産でね」
2021年5月27日の発表が、とてつもなく昔の出来事に思える。
「とにかく、続報が無かった。期待値のコントロールは大失敗だね」
「それほど、人々に愛されていたのですね」
うなずくパパさん。
「私たち『冬の世代』の者には、伝説そのものだからね。同時に、大いなる呪縛」
「ガーデナーが負の感情を集めるのに、戦争でも人種でも宗教でもない…」
たかがゲームで。
「異世界の人から見れば、理解に苦しむだろうね」
「ゲームに熱狂できることが、平和の証かもしれませんの」
この瞬間にも、南極の氷が解けるように少しずつ失われる…尊い平和。
「私たちは、RPGの豊かさを守る『ベナンダンティ』でありたいね」
「マリカ様が聞いたら、首をかしげるでしょうけど」
笑い合う父と娘。
かつて、ドラグーン・ジャーニーの生みの親「ハリー・ユージーン」はこんな言葉を残した。
「人生はRPG」。ならば、RPGもまた人生の縮図なのだろう。
戦って、敵を倒すだけ。順位を競うだけ。全てを暴力で解決するだけの人生に待つものは。
いま、RPGの未来があぶない。
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2024-10-19 04:57:42 +0000