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翌日。
研一は、面会時間に唯に会いに行く。
マスクは外れたようだ。良かった。
しかし、唯の様子がおかしい。
痛いのか?どっか悪いトコあるのか?と聞いても、ううん大丈夫、とだけ。
医師からは、ウイルスが抜けきり、肺が元に戻るまで一週間程度かかると説明があった。
休日明けの火曜からは、あいと翼もお見舞いに来れるとも聞いた。
しかし、研一の頭の中は寂しそうな唯の顔がこびりついて離れなかった。
そして、病院からの帰り際。
ナースセンターを通り過ぎると、あいからLINEが入った。
お姉ちゃんどう?と。
状況を伝えるために、近くの椅子に座り、文字を打っていく。
すると。
⋯あの娘にも、彼氏いたんだね⋯
⋯気持ち悪くないのかしら、あんな娘⋯
ナースセンターの奥から聴こえてきた声。
ヒソヒソ話のようだったが、今日は休日、廊下まで響くようだった。
研一は考える。⋯何か唯とココが関係あるのか?
あいちゃんに「知ってたら教えて、○○病院なんだけど」と文を打つ。
浅はかだった。
⋯この病院に、唯は担ぎ込まれていたんだ。
しまったと思った。
なんの考えも無しに入院させてしまったが⋯
先程聴こえてきた声は、明らかに年配の看護師のようだったし。
唯の「事件」についても知っているのだろう。
そして唯は、たまたまそれを聞いてしまったと。
研一は頭を抱えた。
どうすりゃ、唯をトラウマから解放してやれる⋯?
恋人として、将来の夫として⋯
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2024-10-17 03:00:30 +0000