見えるんだけど見えないもの

早渚 凪
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晶さんの婚約発表まであと6日になった日、洗面所に行くと幽魅が何やら鏡を見ながら自分の耳をむにむにしています。
「幽魅、何してるの?」
「あ、凪くん。見て見て、ピアス作ってたのー」
見ると、確かに幽魅の耳にはごてごてとピアスがつけられています。そうか、自分のイメージで体をいじくれる幽魅はピアスも気軽に試せるのか。
「うーん、似合わないってほどじゃないけど、幽魅の魅力はもっとこうふにゃふにゃした無邪気な可愛さだと思うんだよね。だからあんまりたくさんアクセサリーつけるよりイヤリング一つくらいの方がいいかも」
「って言うと、こんな感じ?」
耳がぐにゃりと変形して、ピアスの代わりにイヤリングがついた耳に変わりました。できれば目の前で変形させないで欲しかった・・・ちょっと気持ち悪い。
「ところで、何で突然イヤーアクセサリー?」
「今度リゾートホテルで晶さんの婚約発表するパーティがあるんだよね?凪くん、そこで仕掛けるつもりなんでしょ。で、パーティに行くなら私もオシャレしようかなって」
まあ、パーティとなればドレスコードもありますからね。しかし、幽魅にはオシャレの必要ないのでは・・・。
「幽魅、どうせ私以外に見えないのにオシャレするの?」
「凪くんが見るからオシャレするんだよ!?」
なぜそうなるんだ・・・?と、私の後ろから玄葉がやってきました。歯磨きにきたようです。
「お兄、ひとりで何ぶつぶつ言ってるの?」
「何でもないよ」
玄葉のために洗面所の入り口からどくと、玄葉は私と幽魅をかわすようにして洗面台の前に立って歯磨きをはじめます。・・・ん?あれ、今玄葉が幽魅をかわした?
「玄葉、見えてるの?」
「ふぁ?」
玄葉が『何意味不明な事言ってるの?』と言わんばかりの視線を向けてきました。いや、でも今確かに幽魅をよけたように見えたんですが。
「(幽魅、ちょっとちょっと)」
私は小声で幽魅を呼びました。幽魅が疑問符を浮かべながら耳を寄せてきます。
「(すりぬけ状態で、玄葉の肩をくすぐってみてくれる?)」
私のささやきを聞いて、幽魅は『にしゃー』と笑みを浮かべました。玄葉の背後に移動し、両手をわきわきさせて玄葉の肩に近づけていきます。
「ブフッ!ちょっと、やめてよゾワゾワする!」
我慢できなくなった玄葉が歯磨き粉を吐き出して幽魅を振り払うように体をよじります。
「凪たいちょー、マヌケは見つかったようであります!」
「ちょっと玄葉ぁ!幽魅が見えてるなら言ってよ!?」
「あーうるさい!とりあえず歯磨きさせろ!」

「はじめはお兄が部屋で独り言言ってるんだと思ってたの」
リビングに移動して、歯磨きの終わった玄葉から話を聞くことにしました。
「でもある夜、お兄がまだ仕事から帰ってないのにお兄の部屋の方から何か気配がすると思って。気になって見に行ったら、天使の翼生やしたその人が窓ガラスすり抜けてお兄の部屋に入ってくるの見えちゃったの」
幽魅からすれば誰にも見えてないと思って私の部屋に入ったわけか。しかし実際には玄葉には見えていたと。幽魅に視線をやると、『てへぺろ☆』と言わんばかりの表情をしてきました。
「夢だと思いたかったけど、次の日の朝お兄のおでこに『ボクはドスケベ野郎です』とか書いてあるし!もう絶対現実じゃん!」
あの日か・・・まあ、下着姿の幽魅と一緒に寝ているところを玄葉に見られなかっただけでも良しとしましょう。そこ見られてたら言い訳のしようがありませんから。
「それからもちょいちょい家の周りや家の中で見かけるから、たぶんお兄が憑りつかれてるんだろうなって思ってたんだけど。で、私も見えてるのがバレると憑りつかれかねないから無視してたの」
「いや、幽魅は私に憑りついてるわけではないんだよね・・・」
私の方も、幽魅について一通り玄葉に説明してあげました。
「・・・はぁ。状況は分かったけど。とりあえずお兄、あんまり変な事に巻き込まれないようにしてよね」
「気を付けるよ。玄葉も、幽魅と仲良くしてあげてね。幽魅は今まで私以外の話し相手いなかったから」
「・・・うん」
玄葉が伏し目がちに幽魅に視線を向けました。それを受けて幽魅は、
「玄葉ちゃーん、よろしくねー。お姉ちゃんだと思って気軽に接してくれていいよー」
なんてピースしながらにこにこしています。ところが、その言葉を聞いた玄葉は途端に視線を鋭くしました。
「は?お義姉ちゃん?ふざけないでくれる?勝手に義姉とか名乗られても迷惑だから。私認めないし」
「えー!?凪くーん、玄葉ちゃん何で怒ってるのー!?」
「さあ・・・」
何が玄葉の逆鱗に触れたんでしょうか。・・・まあ、いいや。晶さんと江楠さんに連絡をとって作戦を詰めないと。
「くーろーばーちゃーん!」
「きゃあん!?やっ、ちょ、ダメぇ・・・!?肩触んなぁっ・・・!」
幽魅が玄葉に抱きついて艶っぽい悲鳴をあげさせています。何だかんだ仲良くできそうだし大丈夫でしょう。
「オラッ!清めの塩!」
「ちょっとぉ!?塩は洒落になんないよお!フジミなのに死んじゃうよぉ!」
「あんたもう死んでるでしょ!」
「ひどーい!」
大丈夫でしょう・・・多分。

※『AIピクターズ』サイト内で生成した作品です。AIピクターズ作品ページ→https://www.aipictors.com/works/479996/

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2024-10-16 15:06:27 +0000