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翌日。
日和「あいちゃん、翼ちゃん、今日は何かご用事ある?」
朝ごはんのトーストを食べながら、日和は二人に聞く。
翼「唯姉さんのお見舞いは行けるんだっけ?」
あい「無理って研一さんから連絡来たし、昨日の内にお姉ちゃんの荷物まとめて、ウチの玄関に置いて研一さんに託したから⋯特に身動きは無いかな」
日和「だったら、今日まで泊まっていきなさいな。明日は明後日の学校とかも考えて、家に帰る方が良いだろうけど」
| -`)特に智多もなんもないよな?
智多「うん」
あい「とりあえず後で研一さんと連絡して、状況次第ですかね、多分お願いすることになると思います」
翼「お願いします」
日和「そしたら、二人に今日やってみて欲しいことがあって」
黒川姉妹「「?」」
⋯
⋯⋯
⋯⋯⋯
日和「というわけで、お料理教室です」
智多「⋯何がどうなって⋯どういうこと?」
日和「まーまー、ちーちゃん。二人の実力を知っておけば、少なくとも今後のお料理についてのアドバイスしやすくなるかなって」
智多「あ、そゆこと」
| -`)なるほどなあ
あい「マジで習ったことないからなぁ⋯料理」
翼「ボクも⋯。この前調理実習やったけど、野菜とか洗うばっかであと全部縁さんだった⋯」
翼は智多の方をチラッと見る。そんなんで大丈夫か、と。
智多「⋯ん?レシピあるから、都度味見していけばなんとかなるでしょ」
大丈夫だ、問題ない、とばかりに、智多は答える。
翼「えぇ⋯」
げんなりする翼。そんな二人を見かねて、日和は助け舟を出そうとする。
日和「ま、今日はゆるくやりましょ。これが私たちのお昼ご飯になるから」
あい「そこが一番プレッシャーです!」
⋯
⋯⋯
⋯⋯⋯
<あい:だし巻き玉子、智多が教える>
智多「⋯ん、そうそう、火はとろ火だからゆっくりやれば」
あい「くぉぉぉ⋯!(真剣)こ、こうかな智多ちゃん⋯!(腕プルプル)」
智多「お、上手じゃん、ただ力みすぎ」
あい「力加減がわからないぃ⋯!」
<翼:ご飯(炊飯器)、日和が教える>
翼「んしょ、んしょ(米を研ぐ)、こんな感じでいいですか?」
日和「うん、水切った時に白い研ぎ汁が少なくなればいいよ、あと、お米は必ず冷たい水で研ぐことかな」
翼「温かいのじゃダメなんですか?」
日和「研ぎ汁をお米が吸っちゃうからね、だから手も冷たくしてからやった方がいいんだよ」
翼「へえ、奥が深いや」
<あい:野菜のおひたし、智多が教える>
あい「あっつ!⋯ねぇ智多ちゃん、これ茹でる前に切っちゃダメなの?」
智多「めんどくさいならそれでも良いかもだけど、切ったトコから旨みが抜けてっちゃうからね、私は熱いけどそうしてる」
あい「くぅーん⋯」
<翼:みそ汁、日和が教える>
日和「出汁はめんどくさいから顆粒使っちゃお、そして具も茹でよう」
翼「これは一袋使っていいんですか?」
日和「今日くらいの量ならそうかな、ホントだったらきちんと出汁取れればもっと美味しいけど、家のご飯はスピード重視だから、手を抜けるとこは抜くと」
翼「⋯はい、出汁入れてから野菜と。お味噌は何処で入れますか?」
日和「具に火が通ってからかなぁ、あと、慣れないうちは少しずつ入れて、味見しながらお味噌足してった方が失敗は少ないよ」
⋯
⋯⋯
⋯⋯⋯
そして、昼飯の食卓。
| -`)おお、普通に美味そうやん
テーブルには、炊きたてご飯、ワカメと麸の味噌汁、卵焼き、小松菜のおひたし、それに冷奴が並んでいた。
あい「⋯なんか、心配ですけど」
翼「お口に合うか⋯」
智多「大丈夫でしょ。食べよ食べよ」
日和「はい、いっただっきまーす」
静家三人は一斉に食べ始める。黒川姉妹は、その様子を見つめる。
| -`)⋯(もぐもぐごっくん)、ん、おひたしもええ味加減やん⋯(味噌汁ズズー)、っはぁ、味噌汁も濃過ぎないし
日和「ご飯もちゃんと炊けてるよ、美味しい美味しい(もぐもぐ)」
智多「(もぐもぐごっくん)卵焼きはもーちょい火が入った方が良いかな、美味しいけど」
三人がもりもり食べている様子を見て、あいと翼はホッと胸を撫で下ろす。そして、それぞれが作った料理を一口。
あい「⋯美味いじゃん、翼」
翼「⋯あい姉こそ」
それを見ていた日和と智多、にっこり。
智多「味オンチなら話は別だけどさ、きちんとした『美味しいもの』が分かってれば、味見さえ怠らなきゃ案外大丈夫」
日和「あとはレシピを大きく外さないことかな、完全にその通り!って作れればそれはそれで良いんだろうけど、冷蔵庫に必ずあるわけじゃないし」
| -`)ま、料理人クラスの美味しいもの食べたきゃ、唯でも研一でも連れてって貰えばいいっしょ
翼「なんか、自信持てました」
日和「なら良かったぁ。あとは経験値かな」
あい「確かに。お姉ちゃんにも教えてみよ」
智多「⋯よし、パパたちのプロジェクトが進んで、次のお泊まり会でチェックしよ」
翼「え!?」
あい「そりゃないよ智多ちゃん⋯!」
昼の静家には笑顔があった。
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2024-10-15 03:00:30 +0000