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ある日の午後、息子のラウルスが玩具の剣で遊んでいるのを見た。想像した敵を斬りつけるその顔は、偉大な戦士だった夫のそれと同じ凛々しさをたたえている。それを見た瞬間、私の胸は懐かしさと切なさに酷く締め付けられ、堪らず息子を抱きしめた。
ああ、ラウルス。あなたはお父さんのように戦士になりたいの?そして、あの人と同じように、いつか私を置いて逝ってしまうの?そんなの、ママは絶対に嫌よ。
お父さんが遺してくれたお金があれば、私達は充分に暮らしていける。土地も家財も、あの人が遺してくれた『盟竜』が護ってくれる。だから、あなたがお父さんの代わりにならなくてもいいのよ。お願いだから、ずっと元気で、私の傍に居て。本当に、それだけでいいから。
2024-10-13 08:28:53 +0000