花嫁の瀬戸内絹重は、結婚式のために花婿・春原辰雄の家に向かうため、お迎えの花婿の父・春原史郎と共に蒸気機関車に乗るが、開始の時刻に間に合わなく、普段なら歩けない距離ではないが、次の駅で降りて歩いたら1時間以上はかかってしまう。今日は悠長に歩いている暇はない。花嫁・絹重は嫁入り様に叔母のカヨが繕ってくれた、赤い梅柄で絹の紬の着物で、美しい銀襴緞子の帯を締めたまま、髪だって文金島田に結ったままで汽車の出入り口から飛び降りると(昔の事なので、窓は開くしドアもないに近いため)、富士見の田園風景の中、丘をコロコロ転がる。
史郎はその様子を見て真っ青。絹重を助けるために意を決して、自分も袴姿のまま後を追って飛び降りる
しかし絹重は身軽で無事だったものの、史郎は四肢複雑骨折をしてしまい、おまけに脳挫傷を覆ってしまい、重体になってしまう。
2024-09-09 04:56:12 +0000