城ヶ崎 ソフィア 悪意の実験室【前編】

キューコン
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城ヶ崎ソフィアは、通っている高校では陽気で親しみやすい生徒として知られており、学内屈指の美貌とスタイルも相俟って非常に人気の高い美少女だ。
しかし、修道女の仕事中だけは、普段の笑顔が鳴りを潜め、まるで別人の如く苛烈な性格へと変貌する。
正義の名の下に、悪を断罪し、人々の平穏を守る事こそが己の使命である――と、ソフィアは自覚しているのだ。
修道女として修練を積んできただけあって、彼女の実力は高く、悪しき存在との戦いではその力を遺憾なく発揮する。
一方で明確な弱点も抱えており、悪を目の前にすると思考が直情的になってしまう故、搦め手に長けた相手を苦手としていた。
友人の退魔師の神宮寺彩羽も、生真面目な性格のせいで搦め手は不得手であり、2人揃って弱点が被っているのは軽視できない欠点だろう。
だが、それでも2人で力を合わせれば、大抵の場合はどうにかなる。
今回の仕事だって、2人ならきっと大丈夫なはずだ、とソフィアは確信していた。

「入るわよ。ソフィア、準備はいいかしら?」
「いつでもオーケーだよ、彩羽」

ここのところ、悪しき存在の出現が短期間に相次いでおり、複数の被害者を出している。
事態を重く見たソフィアは、彩羽と情報を共有しながら調査を進め、遂に重大な手掛かりを得た。
その情報を基に、街外れにある私立大学内の研究所を訪れた2人は、深夜に施設への潜入を試みる事にしたのだ。
研究所内はかなり広いらしく、2人一緒に回るのは効率が悪いと考えた彼女達は、二手に分かれて行動を開始した。
1人になったソフィアは、歩き始めてすぐに邪悪な気配を感知し、悪しき存在が潜んでいるであろう場所へ一直線に向かう。

「実験室2……2って事は、1もあるのかな? 彩羽が見つけてくれていると良いけど……」

邪悪な気配を強く感じる部屋の表札を見て、そう呟いた後、ソフィアは室内に踏み込んだ。
部屋の中には大きな機械が設置されており、その機材の傍らには白衣の女が佇んでいる。
ソフィアの気配に気付いたのか、白衣の女は背後を振り返ると、眼鏡の縁を指先で軽く持ち上げ、真っ直ぐに視線を向けてきた。

「おや、やっと来ましたか。もう1人の巫女は……予定通り、妹の所へ行ったようですね」
「もしかして、アタシ達の侵入に気付いていたの?」

修道服に身を包んだソフィアを目の当たりにしても、白衣の女は驚くどころか、むしろ来るのを待っていたかのような態度を見せた。
この態度を見るに、侵入者であるソフィア達への対抗手段を備えているのかもしれない。
何らかの罠が張られている可能性も考慮しておくべきだろう。
だが、ここでソフィアの悪い癖が出てしまった。

「例えユーがどんなストラテジーを用意してたって関係ない! アタシのフルパワーで、ぶっ飛ばしてやるんだから!」
「貴女……なかなかのお馬鹿さんのようですね。シスターとして幾ら実力があろうと、対人間には無意味ですよ?」

白衣の女が呆れてしまう程、ソフィアは真っ直ぐ向かってくる。
とはいえ、彼女も一切の勝算無しに戦おうとしている訳ではない。
確かに修道女の聖なる力は人間相手には役に立たないが、身体能力に関しては別だ。
白衣の女は、仕事柄引き籠もっている事が多いせいか、かなり痩せた体型をしている。
細身の中年女と、普段から体を鍛えている女子高生のソフィアが真っ向から殴り合えば、ソフィアが勝つ可能性の方が高い。
しかしながら、ソフィアの侵入を察知していた白衣の女が、無策のまま迎え撃つはずもなく……。

「ワッツ!? アッ、アアアアア~ッ!」
「まさか、そのまま真っ直ぐ突っ込んでくるとは驚きです。こんな古典的な罠に引っ掛かる人、今時いたんですね……」

実験室の床には侵入者用の罠が仕掛けられており、セキュリティが作動している状態で特定の範囲の床を踏むと、電撃を浴びせられてしまう。
白衣の女は、侵入者が部屋の出入り口から自分に直進してきた時、罠が仕掛けられた床を踏むよう己の立ち位置を計算していた。
猪突猛進なソフィアは、まんまと一直線に突っ込んだせいで見事に罠を踏んでしまい、その場で膝をついてしまったのだ。
拍子抜けする程あっさり罠に掛かったソフィアに、白衣の女は呆れを隠せず、肩を竦める。

「まあ、お馬鹿なお陰でこうして捕まえられたのだから、良しとしましょう」
「くっ、さっきから馬鹿馬鹿って……! ユーのようなヴィランにだけは言われたくないよ!」
「はいはい、大人しくしていて下さいね。電撃をまともに浴びた以上、暫くは碌に動けないでしょうけど」

ソフィアの抗議を軽く受け流しつつ、白衣の女はソフィアの両腕に拘束具を装着し、機械を動作させて強引に吊り上げる。
抵抗できない状態のソフィアは、白衣の女を睨み付けるが、女はソフィアに見向きもせず、機械の操作を続けた。

「ユーはアタシに一体何をするつもりなの!?」
「愚問ですね。貴女がここへ忍び込んだ目的は、私と妹が作り上げた作品の出所がここだと特定したから……でしょう? なら、私が今何をしようとしているかは、およそ見当がつきますよね?」
「まさか……アタシや彩羽を利用して、新種のデーモンでも作ろうって言うの!?」
「半分正解、といったところですね。我々が目指しているのは、貴女がデーモンと呼ぶ存在の力を、人の手で扱えるようにする事です。人が制御できる形であるなら、その姿が人間のままでも構いません。貴女のようにデーモンの力を抑え込める人物を素体に使えば、きっと上手くいくはずです」

この研究所で今まで行われていた事、そして白衣の女が企てている悍ましい計画の全貌が、ようやく明らかになった。
だが、全てを知ったところで、ソフィアを取り巻く状況は何も変わらない。
電撃による痺れが未だ残っている上、両腕を拘束された今、彼女に打つ手はないのだ。

「くっ……ユーの思い通りにさせるもんか! アタシは、絶対にひぃぃぃぃぃっ!?」
「少し静かにしていてください。喚いたところで、貴女には何も出来ないのですから」

ソフィアを囲むように設置された機械が、妖しい光を彼女に放射し始めた。
光を浴びせられたソフィアは、修道服の上から邪悪な力が染み込んでくるのを感じ、顔を強張らせる。

「まだ……まだ、アタシは……っ!」

彩羽の巫女装束と異なり、ソフィアの修道服には身を護るような術は組み込まれていない。
しかし、彼女が首から提げている十字架のペンダントには神の加護が宿っており、そのお陰で今は何とか耐えられている模様だ。
これなら、体の痺れが回復するまで持ち堪えられるかもしれない――そんな希望がソフィアの中に芽吹き掛けたのも一瞬の事。
白衣の女が機械のレバーをゆっくり動かすにつれ、ソフィアに照射されている光は強くなり、修道服の上から侵食してくる邪気も禍々しさを増していく。

「アッ……ア、うぐ、アアア……!」

修道服の頭巾が破れ、麗しい金髪が妖しい光に照らされて煌めく。
十字架の加護が徐々に破られ、侵食が進んでいるのだろう。
ソフィアは歯を食い縛って耐え続けるが、限界が近いのは自明だ。
白衣の女が更にレバーを動かし、ソフィアに照射する邪気を更に強化した瞬間、遂に彼女の修道服に大きな変化が表れた。

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2024-08-31 14:48:14 +0000