「朝ごはんの準備出来たよ」
僕はちょっと眠り足りないようなこと顔をして、
「ありがとう」
と言って…テーブルについた。
「麦ご飯、キャベツと油揚げの味噌汁、鮭の切身、ひじき煮、納豆、福神漬~、食べて、食べて~」
彼女が、嬉しそうに和食オンリーの朝ごはんを勧める。
「いただきます」
僕は、箸を手に取ると、味噌汁の器を手に取ると汁をすすった。
「どう?」
「うん。美味しいよ」
「この味噌汁は、三種類の出汁を入れてるの。味噌もちゃんと火を止めてから入れるのよ」
嬉々として彼女は、のたまう。
僕は麦ご飯を口に入れる。
「この麦ご飯の炊き方はね。ちゃんと研いだ後で、お酒を少々、味醂とサラダオイルをスプーン一杯入れてから炊くとご飯が甘くなるのよ。どう?」
「美味しいよ」
実際、ご飯はすごく美味しかった。
(えーと次は…)
彼女の目が僕の箸を注視している。きっと次に食べる物についてもレシピのオンパレードなんだろう。
確かに美味しいんだけどちょっと聞くのはめんどくさい、迷い箸をしながら、
「こんな美味しいご飯が作れる人を嫁さんにしたいなあ~」
と言ってみた。
彼女は、顔を真っ赤にして下を向いてしまった。
僕はそそくさと朝ごはんを平らげた。おしまい
2024-08-30 00:25:31 +0000