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妻が亡くなって数週間が経った。
未だに彼女のことが忘れられない。
そんなある日夢を見た。
まるで血のように赤い空と川の水。岸辺には彼岸花だろうか、これもまた血のように真っ赤な花が咲き誇っている。
地獄という言葉が頭に浮かんだ。
棺に入れた時のままの死に装束を纏った妻は、生前と変わらぬ美しい姿だった。
しかし、ひとつ生前と違ったのは、お腹が大きく膨らんでいる事だった。
妊婦、臨月という言葉が頭に浮かんだ。
「あのね、私も知らなかったんだけど、お腹に赤ちゃんがいたみたい。
赤ちゃんは供養されていないから、このままじゃ私たち成仏できないの……」
泣きながら訴える妻の姿に、夢から醒めた時には俺も泣いていた。
そしてすぐに葬式に来てくれた僧侶に連絡を取り、
僧侶の勧めで二人の名前から一文字ずつ取って名前を付けてから、戒名も授けてもらった。
そして念仏をあげてもらい、懇ろに供養をした。
翌日、また夢を見た。
夢の中で妻はとても華やかで美しい空間で、優しい笑みで腕の中で眠る赤子を抱いていた。
2024-08-16 06:43:55 +0000