▼南方熊楠「竜とは何ぞ」
「フィリップ氏またキリスト教法で竜を罪悪の標識、天魔の印相とする風今に変らざる由を述べていわく、中世異端(ヘレシー)を竜に比し、シギスモンド帝はジョン・フッスの邪説敗れた祝いに、伏竜てふ位階を新設した。また中世地獄を画くに、口を開き火を吐く竜とした。悪魔を標識せる竜の像を祭会(まつり)の行列に引き歩く事も盛んで、ルアンのガーグイユ竜などもっとも高名だ。かかる竜の像は追々その本旨を忘れ、古ギリシアの善性竜王(ドラコンテス)同様、土地の守護神ごときものに還原され了(しま)ったとは、わが邦諸社の祭礼に練り出す八岐大蛇(やまたのおろち)が本(もと)人間の兇敵と記憶されず、災疫を禳(はら)い除くと信ぜらるるに同じ。」
(出典: 南方熊楠 (1994年) 「竜とは何ぞ」, 「田原藤太竜宮入りの話」, 『十二支考 上 (岩波文庫)』, 岩波書店, 170ページ.)
▼参考記事: 伊吹弥三郎の岩屋と井明神社 : 姉川を生き、妹川に没した、伊吹山の水竜鬼の生と死
https://wisdommingle.com/?p=30320#yamatanoorochi_mt_ibuki_god
- 5. 千の顔をもつ弥三郎
- 5-4. 伊吹大明神たるヤマタノオロチと伊吹弥三郎
- 5-4-2. 参考: 八岐の大蛇を伊夫岐神社の祭神とする説について
《伊吹山の祭神たる八岐大蛇の火の息吹から生み出される鍛鉄と刀剣》
Forged Iron and Swords Produced From the Fire Breath of Yamata No Orochi (the Eight-headed and Eight-tailed Dragon), the God of Mt. Ibuki-yama
2024-08-14 22:05:11 +0000