キヴォトスの未来は━━━━━私が守護ります。
2月31日未明───
アビドス自治区にてネフティスグループが砂漠横断鉄道計画の開発を放棄してより数年━━アビドス生徒会長の管轄にあり未完成のまま放置されていた超破壊兵器、「列車砲シェマタ」を手中に収めるべく複数の派閥が権利をめぐりアビドス高校へ参集した。
強大かつ非人道的な殺戮兵器であるシェマタの存在はこの一方的な殺戮行為を今後一切たりとも行使してはならないとかつてのアビドス生徒会長の意向により長らく封印されてきたもので列車砲とは比にならぬ生物兵器が跋扈するキヴォトスにおいて何を言っているのかイマイチピンと来ないが兎にも角にも
一歩違えばキヴォトス終焉の危機にて馳せ参じた
超(すーぱー)みらくるキューティーカワイんちゅと陰で呼称されている不知火 カヤ(17)はシャーレの部室に遺されていた連邦生徒会長の書紀から列車砲の情報を既に入手していた。
ゲヘナの雷帝の遺産ともなればもはやその破壊力は折り紙付きであろう━━
サーモバリック弾よりも遥かに強大な殺戮兵器をもって一度愚かなる平民供にその脅威を見せつけることができれば━━?
思い立ったが最後。カヤは既に行動段階に入っていた。矯正局は生徒会の管轄であり、脱走は容易だった。全てはカヤ自身の異常な行動力によって成されるものであり円滑に、そして合理的に計画を進めていった。
アビドス生徒会でしか把握していない情報もカヤは握っていた。迅速にシェマタの座標を導き出し、追手にすら気付かれないスピードで歩を進めていた。しかしここでカヤはひとつ判断を見誤った。それはアビドス砂漠に辿り着く以前にアビドス自治区の道が長くより過酷だったという事実だ。
視界も悪く舗装も碌にされてない道なき道をカヤは進み続けるうちに遂には倒れてしまった。
そして原生生物や砂嵐との遭遇、次第に身体からは水分が奪われ、思考力が低下し、あえぐような呼吸を続ける。カヤは日頃の運動不足を恨んだ。
ソーマト・リコールのごとくかつての思い出がリボルバーめいて高速回転する。カヤの身体はとっくに干からびているというのに目からは雫が溢れた。
あえなく行き倒れた不知火 カヤ(17)はアビドス高校の生徒(16)に救助され無事矯正局へ変換された。
なお矯正局の消灯時間には間に合った模様。
2024-08-14 19:19:39 +0000