重巡勇者熊野で巡るソーサリーの旅~シャムタンティ丘陵㉒

栗坊主

どこからか唸り声が聞こえ、とっさに身構える熊野。
同時に通路が震え始め、壁が崩落し始める。
「…ッ!?ここは危ないですわ、先に進みますわよ!」
「うん!」
スヴィンの少女を連れ通路の先へと進む。その時、一筋の光が見えた。
「…!?もしかしたら出口かもしれませんわ!」
「やった…やっとここから出られるのね…!」
もしかして別の出口があるのでは?2人は希望を抱き、通路から脇の洞窟へと足を踏み入れた瞬間、先ほど聞こえた唸り声が大きく聞こえた。
そして息をのむ熊野。とっさに目の前の光景から少女を庇って壁際に下がらせる。
「グルルル…」
目の前にいるのは、老人の顔にライオンの胴体、サソリの尻尾と一対の翼をもつモンスター、マンティコアだった。
大きな翼をはためかせ、サソリの尾の鋭い毒針が怪しく光る。
「…ここから出たければこいつを倒せ、ってことですわね…この熊野の装甲、そう簡単に破れると思いまして?」
剣を抜いた熊野に、マンティコアが飛び掛かる!

マンティコア 技術点:12 体力点:18

マンティコアの爪を紙一重で躱すとすれ違いざまにわき腹に熊野の剣が突き刺さる。思わぬ反撃にたじろぐマンティコアだが、すぐに体制を整えて再び熊野に飛び掛かってきた。しかし、それを予期していた熊野は横に避けて鋭い突きを繰り出し、それがマンティコアの肩に突き刺さる。苦悶の鳴き声を上げながら後ろを振り向いたマンティコアだが、不意にサソリの尾を横なぎに振り、それがまともに熊野の脇腹にぶち当たり、彼女を壁にたたきつける。
「…ぐっ…!?」
一瞬意識が飛びそうになったが、かろうじて気を失わずに済んだ。幸いにも、毒針は刺さるのは免れたようだ。
朦朧としつつ目を開けた熊野の前に、鋭い牙の口を大きく開けて喉元に食らいつかんとマンティコアが迫っていた。
「とおぉぉ↓おぉぉぉ↑ッッッ!!」
反射的に立ち上がると、熊野は力任せに剣を突き出し…マンティコアの眉間を見事に貫いた!!
敵の突撃の勢いで再び熊野は壁にたたきつけられるも、マンティコアはその場にくずおれ、命の最後の痙攣をしていた。
「やった…やりましたわ!」
「お姉ちゃあああん!!」
ふらふらと立ち上がる熊野に飛びついて喜ぶスヴィンの少女。
「さ、今度こそ帰りましょう!」
「うん!」
熊野は剣を回収すると、少女とともに洞窟を出るのであった。

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2024-08-13 00:24:26 +0000