21時過ぎたとこで上司は退勤した。
最後の1時間はいつも通り、周りの人のフォローをしていた。
上司が帰ると、みんな一斉に上司に関する会話をする。
「ありがたいよなー」
「もうすぐ課長になるんじゃないか」
「彼氏いんのかなぁ」
「いたら、俺たちへのフォローなんてしてないでしょ」
等々、いつも同じ会話を男どもはしている。
いっぽう田中はというと商談議事録を3時間近くかけて作っている最中だ。
商談で録ったボイスレコーダーを0.5秒再生で何度も戻しながら議事録を打ち込んでいる。
そんな中、ものすごい地響きを立ててフロアに入ってくる奴がいた。
それまで会話が弾んでいたフロアは一気にシーンと静まり返った。
地響きは段々大きくなっていき、田中の近くで止まった。
田中は見上げると、上司以上の巨乳が目に留まった。
そのあと顔を見ると、あの飲み会で上司のブラジャーを破壊した疑惑のある
ぶっちゃん先輩であることに気付いた。
ぶっちゃんは「あんたのBSかえった?」と田中に聞いたのだが
田中はイヤホンでボイスレコーダーを聞いていたので
まったく聞こえなかった。
にもかかわらず
イヤホンしたまま「か、かしこまりました!」
と反射的に相槌をうってしまった。
周りの男連中はクスクスと笑い出した。
ぶっちゃんはイラっとした顔つきをしたあと
「あいつのせいでこんな出来損ないの奴が出来上がるのよ。
あいつにとってのBSって不細工ってことね」と全員に聞こえるように
捨て台詞を吐き消えていった。
2024-08-10 06:28:10 +0000