史郎は、溺愛する年の離れた弟の睦雄を寝かしつけてから、自らも畳に寝転がる。しかし先程、友達の脩から聞いた目の秘密が忘れられなくてなかなか寝付けない
脩は、自分では自称オッドアイと言っているが、実際彼の目の色に変わりはなく、澄んだ美しい茶色の目をしている。しかし彼の言うオッドアイとは色が違うのではなく、「片目は緑内障」「片目は白内障」という病気の種類が違うということ。まだ子供ながらに生まれつき厄介な病気を持っている。しかしその目のため、脩は目に不思議な力を持っており、何マイルも、何十マイルも何百マイルも先まで超望遠で待つことができる
後に、この病気は脩の末娘にも遺伝して、脩と同じ目の病院ゆえに起こる不思議な目の力を持つようになり、それが引き金になる事件に繋がるとは、この時はまだ知る由もない
まだ幼い史郎だが、自身も生まれつきの弱視で視力に不自由を抱えているために、脩がどれだけ生活に不自由しているか、それがどれだけ大変な病気なのかはよく分かっていた。いずれは失明してしまう危険性だってある
そんな事を考えながら、やがて史郎は眠りに落ちた
2024-08-10 01:52:06 +0000