スヴィンの族長の娘を救う使命をもってスヴィンの若者たちとともに丘を蛇行する道を進む熊野。
丘の頂上に着くと、地面に穴が開いており、そこがデーモンの洞窟の秘密の入り口のようだ。
「なるほど…ここから降りていくのですわね」
スヴィンの若者たちが穴に下ろすかごを準備している傍ら、地面の穴をのぞき込む。ほどなくして準備が整い、熊野を乗せたかごがゆっくりと穴の底に向かって下ろされた。
底に着くと頭上に空いた穴から差し込む光以外は真っ暗だった。呼び声がすると上から松明と火口箱が投下され、さっそく松明に灯をともす熊野。
「洞窟には何が待ってるかわからん!くれぐれも気を付けて行ってくれ!族長の娘を頼んだぞー!」
「えぇ、ちゃんと見つけて無事保護して村に連れ帰りますわー!」
スヴィンの声に答えると、早速洞窟内の坂道を進む熊野の目の前に左右への分かれ道が現れる。
「たしか、左だけしか進んではいけなかったですわね」
慎重に左の道へと歩を進め、さらなる下り坂を行くとほどなくしてまた別の分かれ道にたどり着く。そこも左へと進み、しばらく歩き続けると、奥から少女がすすり泣く声が聞こえてきた。
「…よかった、無事でしたわね」
「誰っ!?」
手にした松明が物陰に隠れていた弱々しいスヴィンの少女の姿を浮かび上がらせる。
「大丈夫、あなたを助けに来ましたの…、さ、村に帰りましょう?」
「うわあああん、怖かったよおおおおお!!」
熊野は縋りつくように抱き着く少女を優しく抱きしめるとそっと彼女を落ち着かせる。
「さ、あとは脱出するだけですわ!」
そして意気揚々と出口を探して洞窟を進むのであった。
2024-08-04 16:20:44 +0000