田舎の古民家に引っ越してきた。
僕は、家族がいないから、一人住まいだ。
引っ越してきてから3日目の真夜中、座敷童の蝶子が挨拶に現れた。
もう、何十年も人が住んでいなかったこの家に住んでくれてありがとうと。
蝶子は、すーっと昔ここの家の子だったそうだ。でも、病気で亡くなった後でも、この家に居続け、座敷童になった。
「一緒に住んでもいいよね」
赤の他人である僕に嘆願してきた。
僕が、いやだといえばこの家から出て行くそうだ。
この娘には、家族やその子孫の思い出が詰まっている場所、僕には拒否することが出来なかった。
それに。
亡くした娘にどことなく似ていた。
この家も亡くなった妻が相続していた古民家で、いつか家族で住もうと約束していた。
かなわぬ夢となったけど。
この奇妙な同居人は、掃除をしてくれたり、雨戸の開け閉めをしてくれたり、結構こまめだ。
何より。
娘と同じで、僕が外出から帰ってくると満面の笑みで迎えてくれた。end
2024-08-01 19:33:26 +0000