<オリフレ>ラガマフィン

小蜂 凉平

『やっほ~!『ラガマフィン』のラガだよ!
 ラグはみんなをハグして元気にしようとしてるけど、ラガはみんなにいっぱいハグされたいの!
 ハグだけじゃなくてラガと一緒に遊んだり一緒に美味しい物を食べたりすると
 ラガと一緒にみんなもハッピーになれるんだよ!
 じゃあさっそくラガと一緒に遊ぼう…へ?行く所があるから今は無理?
 むぅ~!それならラガも一緒についてく!一緒にお出かけする!置き去りなんて許さないんだから!』
アメリカ・カリフォルニア州原産のネコ『ラガマフィン』のオリフレです。
ラガマフィンはラグドールと多く関係した品種で当然その原点は1963年にカリフォルニア州の猫ブリーダーであるアン・ベイカーが気性が穏やかで抱っこを好む猫を発見したところから始まります。
この不思議な猫を品種化する際にブリーダー達はその希少な特性を残しながらも毛色のバリエーションを増やしたり先天性障害のリスクを減らすために他の品種との交配を進め、結果的に『ラグドール』、『ミラクルラグドール』、『ハニーベア』、『マクシミリオン』の4種が作り出されこの4種を『ケルビム(Cherubim:智天使)』という品種のバリエーションという扱いにする事になりました。
そしてラグドールの解説でも書いた通り、アン・ベイカーが既存の猫血統管理協会ではなく1971年に立ち上げた自身の主催する独自の管理組織である『国際ラグドール猫協会(International Ragdoll Cat Association:IRCA)』による独占管理を行い、ブリーダーから子猫の代金数パーセントを収めさせるフランチャイズビジネスを展開しだした事で、1975年にデイトン夫妻を中心とするブリーダーグループがIRCAを離脱しフランチャイズ契約を無視する動きに出た際に『ラグドール』と共にこの『ケルビム』という品種名も商標登録されてしまいます。
結局アン・ベイカーの描いたラグドールの独占という野望は失敗に終わりますが、その反動なのかアン・ベイカーはIRCAに残ったブリーダーに対して高圧的な振舞いや度を越した要求と束縛を強める様になり、最終的には1993年にIRCAに所属していたブリーダーの過半数が集団離脱し独自路線を歩む事態になりました。
さて離脱したブリーダー達は自分達の飼っているケルビム(IRCA規格のラグドールも含む)の今後について検討し、異なる特性を持つケルビムの各バリエーションを一つの品種にまとめ上げる事で全く新しい品種として再デビューさせる計画を開始します。
しかし、ブリーダー達の間で新品種としての基準の設定が進む一方で、関係組織へ提出する書類の提出期限間際までケルビムに代わる新しい名前はなかなか決まらず、ブリーダーの一人が冗談半分に仮名としてケルビムの元になった気性の大人しい猫が裏路地で発見された事に絡めて『ラガマフィン(Ragamuffin:継当て服を着た人、つまり浮浪者をさすスラングであるとともに『(激しい遊びで服に穴をあけて継当てだらけにする)悪ガキ』の意味合いもある)』を提案し、窮余の策として『ラガマフィン』という名前が仮採用となりましたが、書類の提出後に『一度提出された品種名は変更できない』という規則がある事が発覚しそのまま正式名称になってしまいました。
しかし突飛な名前にも拘らず1994年にユナイテッド猫機構(United Feline Organization:UFO)への登録に成功したのを皮切りにラガマフィンの認知は進んでいき、現在ではラグドールと似た性格の良さから世界各地で人気を高めています。

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2024-07-20 13:15:53 +0000