【illust/120320652】で吐き出されたモブピカさんをキャッチしたかっただけの小話です。
また、こちらのイベント【illust/119939412】の花弁を描写しています。
不都合等ございましたら、パラレル・スルー扱い、またはメッセージからご一報をお願い致します。
末尾IDが奇数→解放、偶数→支配を支援します。
【2】
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私は救われた。
とある人間の少年に二度も救われた。
一度目は今は亡き集落で追われていた時に、
二度目はイザヴァン帝国で囚われていた時だった。
(とある詩の一節)
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私は通りすがりの吟遊詩人。
鮮やかに花弁が舞う中、空に浮かぶ。
花弁に触れると、不思議なことに勇敢な人間の少年に二度も救われた時の出来事をより鮮明に思い出して、纏まらなかったはずの彼を讃える詩が紡がれる。
空から唄いながら、悪食な悪魔に立ち向かう者に“てだすけ”を乗せて。
非力な私ができる、せめてもの手助けを。
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私は鳥ポケモンのように自由に空を羽ばたける種族ではない。飛ぶためには風を便りにする必要がある。
誰が放ったか分からない技のぶつかり合いによって突風が起き、吹き飛ばされてしまった。
体制を整えて、また戦地へ戻ろうとしていた時だった。
上空から悲鳴が聞こえる。
思わず聞こえた方を見ると、空から黄色い何かが落ちてきた。
悲鳴を上げながら落ちてくる何かに向かって飛び上がると、“コットンガード”でなるたけ自前の綿を厚くする。“サイコキネシス”の発動圏内に入ったところで彼を減速させると、厚くした綿で受け止めた。
「いやー、こんな場所でダイブ?とやらを経験することになるとは思わなかったよ」
目の前で稲妻型の尻尾が揺れる。彼が何処から落ちてきたか分からないが、相当高いところからなのは嫌でも察しがつく。
身体が痺れるのは彼の特性によるものだろうか。
綿に刺さっている彼を“サイコキネシス”で抜くと、綿の上にそっと戻す。
「えっと、君…生きてる?」
問いかけに反応するように呻き声が聞こえる。
どうやら生きてはいるようだ。
「……とりあえず何処か手当てできそうな場所まで避難しようか」
今は周囲に誰も居らず崩壊もしていないが、いつどうなるか分からない。
非常食として携帯していたきのみの中からクラボのみを齧ると、厚く膨れた綿と彼で重くなった身体をどうにか“おいかぜ”で吹き進め、この場から離れた。
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2024-07-20 12:28:16 +0000