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ある日の午後。
カランカラーン…
智多「こんにちはー」
杏「いらっしゃいませ…あら智多、ひとり?」
智多「うん、夕飯食べに来た」
杏「珍しい…奥に黒川さんいるよ?」
智多「え?じゃ、そこにする」
あい「…あれ?智多ちゃん?」
智多「こんにちは黒川さん。あれ、その服…」
あいの着ているセーラー服は、確か…
あい「うん、必死でやったら、翼んとこの高校、編入できた」
智多「そうなんだ、おめでとう」
これは嬉しい。自分も勉強を教えた甲斐があるものだ。智多はごく普通に、あいの向かいの席に座ろうとして、はっとする。
智多「あ、ごめん、誰かと待ち合わせ?」
あい「ううん全然。疲れちゃったから、お茶でもして帰ろうと思ってさ。ちょうど智多ちゃんにもお話したいと思ってたし」
智多「なら、遠慮なく。杏お姉ちゃん、日替わりパスタとアッサムで」
運ばれてきたボンゴレパスタとサラダを智多はつつく。あいも「それじゃあ私も」と、チョコレートケーキを追加で頼んでつついていた。
あい「それにしても、お夕飯いつも作ってるのに。今日はどうしちゃったの?」
杏「あ、それ私も聞きたい。…いいよね、ご一緒しても」
横から杏もやってきた。
智多「黒川さんがいいなら。それに杏お姉ちゃん、お仕事は?」
杏「…もうこんな時間だからね、だーれもいないし」
あい「私は別に。お姉さんともお話したいですし」
杏「そう言ってくれるなら。…んで智多、俊さんと日和はどうしたの」
智多はサラダ皿のキュウリをフォークに刺すと、そのまま口に運びバリバリと食べる。
智多「…さあ?多分、ホテルかどこかでイチャイチャしてるんじゃない?」
半分不貞腐れながら、智多は答える。
杏「ぅゎぁ…」
あい「え?でも、パパさんと日和お姉さんって婚約したんだよね?なら普通じゃない?」
智多「そりゃそうなんだけどさ…頻度ってものがあるでしょ、中学生じゃないんだし」
あい「え!?ま、まさか…」
智多「そのまさか。最近、パパぜんっぜんかまってくれないし」
杏「俊さんも、意外と抜けてるしねえ」
智多「そうなの。まあ、百歩譲ってパパがあんな性格で断れないのはいいとしても、おねーちゃんがひたすらベタベタしてるのを見てるとさ、胸焼けがするくらい」
あい「そんなに!?」
杏「…あー、リミッター外れちゃったんだ、日和」
智多「だったらもう今日は勝手にして!と思って、ご飯食べに来たの(パスタもぐもぐ)」
あい杏「「あー…ご愁傷さま」」
智多「ところで杏お姉ちゃん、わざわざこっちに来るとか、お姉ちゃんこそなんかある?あと黒川さんも」
締めのアッサムティーをソーサーに置いた智多は二人に対峙する。
あい「…やっぱ智多ちゃんにはお見通しか…。うん、実は私の進学先のことと、翼の病気のこと」
杏「私は…前相談した後輩くんのこと…」
智多「ふぅん。…ま、時間あるし、お話聞きますよ?」
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2024-07-16 13:11:59 +0000