「それでもいいのなら──君のそばに居させて。」
真っ直ぐな瞳がこちらを見据えてきます。
半身を真紅に染めたその『本当の姿』は、想像していたよりもずっと小さく、可愛らしいものでした。
リスクなんて承知の上です。今更何を厭う暇があるというのでしょうか。
「ええ、ええ。勿論断る理由なんてございませんわ♡ なにより、わたくしから持ちかけた話ですのよ?」
柔らかに微笑みながら、彼に刻んだ赤い印を優しく撫でました。
…上手く行った、と思いながら。
なんとかしなければ殺される、殺されるのは怖くない──とはいえ、ここで死ぬのは御免でした。なにせ、まだ『運命の相手』を見つけていないのですから。
だから考えたのです。
生き残るために。
命を全て奪われては困るから、半分を差し出す事で状況を打開できないかと。
話の通じる相手だったのが幸いでした。
相手の心に穴が空いていたから、そしてその穴を自覚出来るだけのマトモな思考が残っていたから、そこにつけ込んだのです。
以前自分の『仕事』について話したことがあって、その言葉を覚えていて、向こうから頼ってきたこともまた幸運でした。
「貴方とパートナー関係だなんて、不思議な気持ち……わたくしの事、しっかり守ってくださいませね♡ 勿論わたくしも貴方の力になりますわ、メメント様♡」
全ての言葉に嘘はありません。ひとつ残らず、心からの言葉です。
ただほんの少しだけ、秘密にしていることがあるだけで。
「ご友人様もわたくしの事……そしてメメント様の事を許してくださるのね。共犯だなんて、なんて素敵な響きなのかしら♡」
隣の少女へも微笑みかけます。
見た目は可愛らしい少女ですが、その実体はどうなのでしょうか。
とはいえこのヒトも『話が通じる』ようです。味方が増えるのは良い事でしかありません。
こんなところで死にたくは無かったから。生き延びるために取った、大きな賭けでした。
賭けには無事に勝ちました。そして、利用できる味方をふたりも手に入れました。
──それで良かった、それだけだった、はずでした。
「(なんだかわたくし──…)」
メメントの真っ直ぐな言葉を受けたからでしょうか。綺麗な瞳に見つめられたからでしょうか。それとも、手のひらへくちづけを貰ったからでしょうか。
その全てが理由でしょうか。その全ては理由では無いのでしょうか。
この不可思議な捉えられない気持ちは一体、なんなのでしょう。
◇関連展開
carpe diem【illust/120305432】
↓
きっと素敵な色になりますわ♡【illust/120387964】
↓
"ダイイング"メッセージ【illust/120500309】
メメントさんをパートナーとして、隣に立ちます!(立つ脚は無いので浮いております!)
メメントさんへの一連の言動は全て力の無いトモリが「自分が生き残るために」取った行動でしたが、メメントさんとのやりとりを経てトモリにも気持ちの変化が起きているようです。
メメントさんに「わたくしの色に染まるのはどうかしら」と提案した際には「あわよくば利用しよう」という感情がトモリにはありました。(ごめんなさい…!)
ですが、今は「利用する」よりももっと別の言葉が相応しいと思うような感情になっているようです。
この展開以降、一時的にメメントさんのAIデバイス『リムナス』をトモリの腕に装着します。
デバイスがダイマックスバンドの役割を果たします。(親御様に許可を頂いております。ありがとうございます!)
※イラスト内にて既にデバイスを身につけておりますが、実際に装着したのはキャプションにあるやりとりが終わったあとです。装着した姿の説明も兼ねるために先んじて腕に付けた状態で描写しました。
合流、エンカウント可能ですが敵対意思の無い合流展開でも命の保障は出来かねます。ご了承ください。
合流エンカウントの際、メメントさんの姿は本来の姿でも擬態スーツの姿でも、どちらでも構いません。(親御様に確認してこの文を記載しています)
イイーキルスのエンカウントも大丈夫です。中の人はメメントさんに接触した時からずっと覚悟完了していますので……ご自由に!
ちなみに多人数は中の人の腕が爆発して拾いきれなくなる可能性が高いです。
重症や欠損までは連絡無しでokです。
ロストや傘の破壊は事前にご一報ください。
◇お借りしました
メメントさん【illust/116337550】 最終章の姿【illust/120534725】
文章内にて
チルアウトさん【illust/118400019】
◇
トモリ【illust/115732899】
2024-07-14 14:26:27 +0000