王子様の意地

TC-てぇしぃ-
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 18cm。
 これは残酷な真実である。レナトス・リボルの愛するお姫様はかなり背が高い。
「此方が、18cmスーパーハイヒールのダンスシューズでございます」
「嘘だろ……」
 執事長が出してきたダンスシューズを見てレナトスは戦慄した。
 やるからには、徹底的に。男たるもの、愛するお姫様に恥をかかせてはならない。そう決めたレナトスに用意されたヒールは脅威の18cm。まるでバレリーナのトゥーシューズのように、凶悪に反り返るダンスシューズは、しかし支えるつもりがあるのかと思わせるピンヒールで着用者に爪先立ちを強要する。拷問器具だと言われた方がまだわかる。
 これまで、産まれたての子鹿の様に震えながら練習を重ね、何度も何度も無様にすっ転び、足を捻り、膝に擦り傷を作りながら、少しずつヒールの高さを上げて、ハイヒールという存在に勝利してきたレナトスだったが、流石にこれには恐怖を覚える。
 レナトスの頬を冷たい汗が流れた。
「マジ?」
「マジに御座います」
 執事長の無慈悲な返答にレナトスは眉間に深々と皺を寄せた。自分で決めた事だ。
 俺は王子様。俺は王子様。俺は王子様。
 心の中で必死に自分に暗示をかけて、レナトスはその18cmの凶器を手にした。

#Mashle yaoi#Renatus Revol#Margarette Macaron#マガレナ

2024-07-09 22:55:19 +0000