ある夜、吉良吉影はイラついていた。出張という普段とは違う生活サイクル。おまけに、無能な上司のミスで仕事を押しつけられ、夜のルーティンが狂うことに。
(今夜は新しい“彼女”と添い寝をしなければ)
ホテルに戻る道中、彼は夜を添い遂げる“彼女”を探す。
ある夜、月野亜紀に眠るもう一人の自分は己を満たす為に夜の街を歩いていた。
どこかに良い標的はいないか。できることなら、威張り散らした上司達を困らせられるヤツがいい。
出張でやってきたヤツなんかどうだろうか。県を跨いだ殺人事件なんて、しかも話題の殺人者に殺されたとなれば。
その夜、誰も知らないところで出会ってはならない者同士が出会ってしまう。
夜を添い遂げるに相応しい“彼女”を見つけるも、その人物が警官で殺人者だということに焦る吉良。
憂さを晴らすのに丁度いい“獲物”を見つけるも、その人物が異常な性癖を持つ妙な力を持つサラリーマンに困惑する亜紀。
――殺さなければ、自分が死ぬ。
一夜限りの逃亡と殺し合いが始まる。
2024-06-21 06:34:05 +0000