『参ったわね・・・悔しいけど今の私ではこの娘の心までは砕けない。』
綾音をボロ雑巾にになるまで痛めつけ心までも屈服させるはずだった薫子だが、ここに至り諦めざるを得なかった。
「まあそれなりに愉しめたしお客様もお喜びいただけだろうから・・・今日はこれでお終い!」
グシャアァッ!!
次の瞬間、コーナー際に押し込まれた綾音の顔面にトドメのストレートがぶち込まれた。薫子の拳とコーナーに挟まれた綾音の頬が醜くひしゃげ、彼女の口からうめき声が漏れる。薫子が拳を離すと、綾音は顔をコーナーに押し付けるようにずり落ち、リングに倒れ伏した。
そして・・・ここでレフェリーストップのゴングが鳴る。
決着が付き、失神し虚ろな表情の綾音を救護班が担架に乗せて運んでいく。
『それなりには愉しめたけど・・・今度戦う時はその心も砕いてあげないとね♪』
担架に乗せられて会場の奥に消えていく綾音を見ながら、薫子は少し悔しさが混じった笑みを浮かべていた。
2024-06-14 11:27:21 +0000