イタチは細い竹串を持ち上げ、串の末端に刺されていた緑色の団子を一口で食べた。
鬼鮫は楽しそうな顔でイタチを見つめていた。
団子屋さんを訪ねることはいつも良い考えだった。無論、鬼鮫は特に団子が好きなわけではない。ただ団子屋はイタチにとって座ってくつろげる数少ない場所の一つであり、鬼鮫はそれが好きだった。
イタチは大きな団子の玉を一口で食べ、それを素早く優雅に丸呑みしようと、鬼鮫はそのしぐさが好きだった。 知り合ってから五年が経ち、十三歳だったその時の少年は、もはや立派な青年になっていたが、いまだに団子は手放ししない。 イタチは子どものように団子が大好きだった。安心して座っているのは今のごく一瞬かもしれないが、鬼鮫はそれだけでも喜ばしかった。
鬼鮫も手前の団子を一口かじった。
これは認めないといけない…
イタチのゆう通り…
この店の団子は実に美味しい…
イタチは静かにお茶をすすり、湯のみを下ろしながらささやくように言った。
「鬼鮫、振り向くな。俺たちは監視されている」
鬼鮫は白い歯を輝かせ、ニヤッと微笑んだ。
自分らはすでに疑惑を引き起こしているのですね…
それは早い…
まあ、木の葉の連中だから、気づきはこんなに早くてもおかしくないだろう…
そもそも自分らはよそ者だし…
黒い外套を着て、菅笠をかぶっていて、木の葉のど真ん中に在るこの団子屋さんで座っているよそ者で…
鬼鮫は床を見た。
イタチと向かい合って座っており、店の正面玄関を背にしていたから、外は見えなかった。 しかし、床に映る影から推測すると、自分らを監視していたものは、店の正面玄関の柱に寄りかかり、店内に長い影を落としていた。
「カカシ! お前はこんなところにいるとは!」
正面玄関の柱に寄りかかっていた影は身じろいた。
鬼鮫はイタチを見て、ささやいた。
「はたけカカシ?」
イタチはうなずいた。
やはり…
物事は面白くなってきましたね…
---
長編同人小説『あるうちはの住む家』第一話【イタチの里帰り、その一】より抜粋。
つづきはここで読めますー>
novel/22329401
『あるうちはの住む家』は愛しいうちは兄弟、うちは一家の話です。
イタチ、サスケ、そして彼らの一人姉妹のあすか(オリキャラ)は家族を引き裂いた悲劇の余波を生きている。彼らには、家に帰る道はあるのだろうか。 そもそも家というのはどこにある。
〈うちは一家、オールキャラ、再話、シリアス、ほのぼの、心の傷・救い、原作改変、 原作沿い部分あり、別の結末〉
上記のイラストは第一話の表紙、イタチ兄さんの誕生日のお祝いに完成したものです。
***イタチ兄さん、誕生日おめでとう^^🍡***
2024-06-09 04:04:36 +0000